ヘクス距離 50m マップ上が北
アルダ=シャール要塞周辺の地理を示す。
アルダ=シャール要塞はHex0711の1ヘクスのみの施設である。
居住環境は劣悪であり、そもそも大人数を収容できないので南方から東方、アルダ河に沿って町が建設された。
要塞自体は古くからの物だが、アルダ=シャール市は戦乱で何度も破壊・再建されている。
アルダ=シャール市の城壁は便宜上、第一、第二、第三の城壁に分けられ、図でもそのように示しているが、第一、第二城壁に関しては様々な時期に作られた城壁が再利用されており、場所によって形状も強度も異なる。
第三城壁は第四帝政に入ってから整備されたもので同時に港湾や堤防が整備されている。
アルダ河を横断する橋は、要塞と同時期に建設されたと伝わる古い物だが、要塞と異なり何度も補修されている。
この橋は巨大な建造物であり、川面からの高さは五〇メートルを超え、船舶の通過に支障はない。
第一城壁に囲まれた部分は街の最も古い部分で、現在は行政区画として使用されている。
第四帝政の常として、行政区画とマリセア寺院区画は一体化している。
シャブジャーレ騎士団の行政部がここに置かれていた。
第二城壁内部は『旧市街』と呼ばれ貴族、富裕層の住居となっているが、帝国内の他の都市と比較すると領域は広くない。
第三城壁内のうち、アルダ河南岸は『新市街』と呼ばれ、一般住民の居住区となっている。
港湾労働者の大半は資産に乏しい者たちで、新市街東方の城壁外に居住しているが、ほぼスラム街だろう。
アルダ河北岸の第三城壁内部はシャブジャーレ騎士団の駐屯地となっており、三〇〇〇人ほどの団員が居住していた。
アルダ=シャール市の住民は狭義では八〇〇〇人程で、これに駐屯していた騎士団の兵員三〇〇〇人を加えて一〇〇〇〇強とされる。
壁外住民は少なくとも五〇〇〇人を超えるが、実数は不明。
中立地帯からの流民も多く、帝国の戸籍を持たない者が過半である。
帝国歴一〇八〇年一月のクチュクンジ蜂起を受けて、シャブジャーレ騎士団はクロスハウゼン師団に救援を依頼。
クロスハウゼン師団到着に伴い、アルダ=シャール市全権を委譲した。
クチュクンジ蜂起直後に騎士団は要塞奪還作戦を実行したが、要塞内に入っていたセリガー第九市民により大打撃を受ける。
騎士団のアルダ=シャール責任者である副団長が戦死。
更に、騎士団の上位者が十数名戦死。
彼らはシャブジャーレ騎士団アルダ=シャール駐屯部隊の最精鋭であり、彼らの喪失は騎士団に大打撃となった。
シャブジャーレ騎士団としてはアルダ=シャール要塞を奪還したとしてもこれを守備する人材がいないため、クロスハウゼンに権限を委譲したのである。
他の勢力に託すよりはマシだと考えたのもある。
シャブジャーレ騎士団は兵員の大半を南方の本拠シャブジャーレに引き上げた。
ただし、文官の半数は残ってクロスハウゼンの統治に協力している。
これは、騎士団の権益を可能な限り維持するためでもある。
クロスハウゼン師団はアルダ=シャールに師団本隊他、補給部隊などの後方部隊も引き連れて移動している。
これにより総人員は二万人を超えている。
これは、カゲシン中央とセリガーの動向が不穏なためだ。
事があったときに師団として一体の行動がとれるようにするため、師団の主力だけでなく、一族の主要人員がほぼ全員移動してきている。
シュマリナ市の防備は最低限とされた。
クロスハウゼン師団は速やかに要塞の包囲に着手したが、要塞周辺に適地がないこともあり、行政地区に第一歩兵大隊と第一魔導大隊の二個大隊を配置するにとどまっている。
師団の主要人員はアルダ河北岸の旧騎士団駐屯地を接取してそのまま使用している。
ただし、駐屯地は三〇〇〇人規模の物であり、師団人員の大半は駐屯地東方に仮設住宅を建設して野営中となっている。
キョウスケたち一行は要塞を避けてHex 0301近辺にボートで上陸。
そのまま駐屯地に入った。