• 異世界ファンタジー

04-26M11 龍神教撤退

04-26M11 龍神教撤退



戦闘が終結しつつある状況



クロスハウゼン・バフラヴィーの部隊は白龍川旧川床上を制圧し、キョウスケたちと合流。
キョウスケ隊と合同で周囲に残っていた龍神教残存負傷兵を捕虜としています。


レトコウ伯爵軍は龍神教とベーグム師団の間に割って入り、旧川床までに到達して、そこで停止しました。
レトコウ伯爵軍は全く戦っていませんが、龍神教とベーグム師団の仲裁に、部分的ながら成功した形になりました。
結果として、レトコウ伯爵は『アリバイ作り』に成功した形となっています。
ベーグム師団としては、レトコウ伯爵軍が龍神教と戦闘を行わなかったのは不満ですが、結果的に助けられた形になりましたので、不平も言えない状況となりました。
龍神教側からすると、攻勢が行き詰まった状況での仲裁ですので、ありがたい話です。
龍神教の北部四個大隊はベーグム師団の追撃を受けることなく退却できました。


南方ですが、龍神教三個大隊は分断点隘路を通過して退却しました。
キョウスケ隊は砦からの退却妨害は行っていません。
砦内でそんな余力があったのはキョウスケだけでしたし、キョウスケはせっかく退却してくれているのだからと妨害する気持ちは無く、そもそも今更さらに目立つこともしたくなかったのです。
龍神教部隊は大過なく撤退し、南方の収容陣地に入りました。


ベーグム師団は師団長代理のニフナレザーの命令で追撃を行いましたが、前線の部隊は既に限界であり指揮官たちは消極的でした。
そして、龍神教の殿軍として魔導大隊が最前線に出てきた時点で追撃は完全に停止しました。
龍神教側は最後の作戦としてベーグム師団の追撃部隊を殲滅しようと考えていたため、ベーグム師団の追撃停止は予定外でした。
このため、ダメもとでベーグム師団への挑発を開始します。


前線部隊指揮官の消極姿勢に不満を持っていたベーグム・ニフナレザーはこの挑発に乗り、自ら騎兵部隊を指揮して追撃を行うことに決します。
敵が待ち構えているのが分かっている状況での追撃ですので、軍事的には得策とは言い難い決断でした。
ただし、軍事的には兎も角、政治的には必要な話では有りました。
今回の戦いはベーグム師団の主導で行われています。
ベーグム師団首脳が、レトコウ伯爵やクロスハウゼン・バフラヴィーの反対を押し切って攻勢を主張したことは会議で明らかです。
キョウスケの文では書かれていませんが、会議にはレトコウ伯爵以外の中小諸侯、子爵、男爵その他が多数参加していました。
これを今更取り繕うのは無理です。
そして、その戦いでベーグム師団は大きな打撃を受けることになりました。
このままでは、ベーグム家の政治的地位が大きく低下するのは明らかであり、わずかでも挽回が必要だったわけです。
ベーグム・ニフナレザーとしても、分の悪い賭けであることは分かっていましたが、それでも賭けなければならない状況だったのです。
結果として、更なる状況の悪化を招いたわけですが。


ちなみに、龍神教側もベーグム・ニフナレザーの政治的状況が分かっていて挑発しています。


キョウスケ達ですが、砦の東側斜面をかけ下って介入しています。
キョウスケ自身は淡々としていますが、周囲からは、大胆で勇気ある行動と見られています。
まだ、戦闘が完全に停止していない状況で、白旗を持ってとはいえ数人で介入した訳ですので、かなり目立っていました。

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