「崩壊へ… 短編」を含む小説

雨風をしのげて、家族がいて、争いもない。 “幸福な国”と呼ばれたその地に、ある日旅人が現れた。 手にしていたのは、外の世界を映す小さな“板”。 それは、人々の価値観を少しずつ変え…

これは、地獄よりも静かな場所へ堕ちていった、一人の完璧な少女の記録である。 アリサ・スノワ。 寸分の狂いもなく設計された日常、学年トップの知性、そして誰をも寄せ付けない孤高の美…

パンデミック。ゾンビに崩壊させられた街。そこから始まる物語の序章。

　西暦2242年、帝都東京。 　人々の精神は朱雀網に常時接続され、感情は標準化されていた。この完璧な論理社会で、精神保安局の来栖アキラは奇怪な事件を追っていた。 　被害者は…

古びた廃墟が好きな私は、大学時代の先輩と、社会人になってからも一緒に旅して、廃墟を巡っていました。 その日は、バブル崩壊の煽りを受けて、造りかけのまま放置された、巨大公園の廃墟に…

いつも見下してる女が幸せになりそうだから、ほんの気まぐれでいつも彼女は奪った。 友人の男も、幸せも。 だが知らなかった。 その出会いが仕組まれた「罠」だということを……。

北のハイパーデストラクション月ノ輪クマを狩りに行った父に代わって、実家の神社を守ることになった石器時代殴郎（せっきじだい なぐろう）。 彼の敵は南から来る全長１５メートルの巨大狂…

ここは、「空想病棟《ファンタズマ》」。 心に"ひみつ"を抱えた子どもだけが運ばれる、不思議な病棟。 目を覚ました少女・ソラは、自分が誰かもわからないまま、この病棟で目覚める。 …

兎のピョン太。 可愛い兎。 兎のピョン太 さようなら。 ※ハッピーエンド

アイスを選ぶたび、君の笑顔が見たくてフルーツ系を選んでいた。 本当は、ずっとバニラが好きだったのに── 最後に君が差し出してくれたその味は、 優しさと“気づいていたよ”の言葉だ…

「またあしたね」 そう言って笑った彼女は、 ある日、事故で突然いなくなった。 それでも僕には──彼女の姿が見えた。 でもクラスの誰も、彼女の名前を思い出せない。 教室から、ノー…

クラスの隣の席には、ちょっと変わった女の子がいる。 名前は物常　琴奈（ものつね　ことな）。 無口で真面目、でもなぜか……やたらと僕のこと、見てくる。 「朝、今日も同じ道通っ…

壁ドンされた瞬間、私は気がついた。 ──ここって……まさか乙女ゲームの世界！？　何年か前に発売された、あの問題作！ ゲームのタイトルは 《オレ様たちの、言うことは絶対。～強制L…

かつて人類は、“幸福”を手に入れるために王を作った。 AI、遺伝子工学、ロボティクス――進化の果てに作られた究極の管理者「王」は、 人類を導くはずだった。だが、“幸福”の定義が…

　深夜の張り込みのために、仕方なく後輩と入ったラブホ。 「神田先輩、人選ミスですよ」 「人のこと言えんのか橘」 　燻らせた煙草が消える時、関係性が大きく変わっている話

爪が落ち、皮膚が溶け、甕に溜まる。私はあなたの液を吸う――室町の古文書に記された、肉体崩壊の悪夢。

同じ時間に起きて、支度をし、同じ順路で会社に向かう。会社を終えたら同じ順路で帰宅し、家で寝る。 この退屈な日常から抜け出したかった。 けれど、自らを変える勇気も行動力も無かった…

夜ごと無為に過ごす、どこにでもいる“モブ”のような30歳の男。 生きる意味を失い、ベッドに横たわるだけの日々。 そんな彼の前に現れたのは、月光の中で微笑む黒いセーラー服の女と…

　夜の海辺に小さな駅があった。電車も通らず人も来ない、廃駅としか思えない駅である。 　笑うことができない「私」は、そこへ行くのが好きで、毎晩そこにいる男性と話して日々の疲れを癒し…