自分が思い描いた作品が、少年エースで漫画に!? 漫画原作小説コンテスト始動!!
2,336 作品
『美咲ね、将来はパパとケッコンするの!』
西暦20XX年。時はまさに大デスゲーム産業時代!
いくつもの怪しげな企業がスポンサーにつき、多種多様なデスゲームが裏サイトにて管理、運営をされている時代だ。
この物語は、そういった革新的で刺激的なデスゲームを運営する会社に勤める中間管理職の男、黒崎鋭司の立身出世伝である!
「役所がダンジョンの問題・事件を解決していく」というアイディアが非常に面白く、またその内容を伝える作品タイトルがわかりやすい点が高評価でした。
一方で、物語の後半になるにつれて、本作の特徴である設定の面白さを展開に活かしきれていない点が惜しいと感じました。
本作の「魔法使いが使う魔法陣には、それを構成する魔法使いがいる」という独特な設定が良く、非常に面白い作品でした。
ただ、小説から漫画となることを想定した際、漫画描写に必要な情報が不足しているように感じました。そのため、漫画原作という観点からは「物語を絵に落とし込むことが非常に難しい」作品である印象を受けました。
「ソーシャルゲームのあるあるネタ」を使うことで、読者に親近感を与えるような作品として工夫している点が好印象でした。
しかし、作品を俯瞰してみると全体的に物語の動きが少ないのと、読者にとってはそもそも何を楽しむ物語なのかが分かりづらいように感じてしまいました。作品の軸となる物語があると、より読者が楽しめるようになると思います。
「少年エース×カクヨム「漫画原作小説コンテスト」」の中間選考の結果を発表させていただきます。
多数の力作を投稿してくださった皆様、並びに作品を読んでくださった皆様には、改めて深く御礼申し上げます。
※掲載の並びは作品のコンテストへの応募順となっております
講評
この作品の最大の特徴である「主人公の黒崎が、妻や娘を養うためにデスゲームを運営する会社の部長をやっている」という他にはない突飛な設定を、説得力のある形でうまく書いている点がまず非常に個性的で面白かったです。
仕事を通じて部下たちに認められるという達成感の演出や、「デスゲームを運営している」というともすればシリアスにもなりかねない設定に対して、あえてそういった罪悪感を描かないことなど、読者に爽快感を与える要素が多く、原作を元に漫画にした際のテンポも悪くないであろうことが小説を読んだ段階で容易に想像がつきました。
このように、作品の設定やキャラクター、物語においては編集部一致で非常に高い評価を得た作品でした。
一方で作者のみかみてれんさんは商業で出版経験のある作家であり、今回のコンテストにおいて商業作家を受賞させるべきかという点には様々な意見もありました。ですが、最終的には漫画となって世に送り出した際、その先にいる「読者」の方々に受け取っていただきたい作品はどれか、という点を選考の基準として慎重に検討させていただいた上で、やはり本作が大賞受賞にふさわしいと判断いたしました。
この原作小説が漫画という形となって世に出る日を、送り手としても読み手としても、今からとても楽しみにしています。