突然の嫁入り・予期せぬ婚姻が人生のターニングポイントに!?
453 作品
本コンテストへの応募、皆様誠にありがとうございました。
今回のコンテストは、以前カドカワBOOKSが開催した中編コンテストに比べ応募要項を細かく設定したのですが、予想を遙かに超えるご応募を頂きました。特に「カドカワBOOKS読者ターゲットの30代~40代女性が楽しめる作品」という点をかみ砕くために、カドカワBOOKSではどんな作品を出しているのか、どんな主人公が多いのか、30代~40代女性はどういう物語を好むのか……。こういったレーベルの研究をしてくださった方もいらっしゃるのではないかと思います。
厳しい縛りの中で考えると作品内容が似通ってしまうというハードルが出てきますが、今回の応募者様からはそれぞれの工夫、持ち味でそのハードルを突破しようとしてくださった試行錯誤がひしひしと伝わりました。ヒーローの萌え重視、じりじりした関係性を重視、恋愛はほっこり程度にとどめ主人公の強さを重視、など様々なパターンを楽ませて頂きました。
本コンテストで受賞となった2作は、「嫁入りからのセカンドライフ」というテーマとの合致のほか、嫁入りシチュエーションの面白さ、30代女性から見た主人公の好感度、自分の能力で周囲から愛情を勝ち取っていく溺愛要素、文章力や構成力が特に編集部に刺さった作品です。長期連載が出来そうな世界観の自由度や展開も高ポイントとなりました。
他にも沢山の作品が寄せられたので激戦の様子を少しでもお伝えするため、記事下に受賞作以外の、編集部内の最終選考作品を改めてリストアップしております。いずれも素晴らしい作品ばかりですので、是非お読みいただきたいです。今後も皆様と編集部とご縁があるよう祈っております。
カドカワBOOKSでは、今後もテーマを決めたコンテストを実施予定です。
少しでも興味があれば、是非チャレンジしてみていただければと思います。
編集部一同、一つでも多くの素敵な作品と出会えることを楽しみにしておりますので、皆様の応募をお待ちしております。
「契約の条件に、晩酌もつけて下さい」「は?」
教会で虐げられてきた聖女・ジゼルは、前世の記憶を思い出した。それは、社畜として働きながらも、週に一回の晩酌を楽しみにしていたOLの記憶だった。
働いてもいい。けど、晩酌だけはしたい。出来たら、誰かと一緒に。
聖女の力を欲しているという公爵の元へ嫁ぐことを教会から命じられたジゼルは、その願いを叶えてもらうために、公爵様に直談判! 聖女の力を使う代わりに、三食晩酌付きの生活を保証してもらう契約を交わす。
最初は渋々晩酌に付き合っていた公爵様だったけれど、お酒を通して本音を見せて‥‥‥
串カツ・フライドポテト・チーズフォンデュetc‥‥。美味しいおつまみと共に、今日も晩酌を楽しみます!
「この世界のために、力を――命を使いたいのです。私を愛してくれたすべての人のために」
◇
誰だって恐ろしい魔族の王子になんて嫁ぎたくない。私だって本当に、いやだった。
でも私が嫁ぐことで、魔族との戦争が止むのなら、私の犠牲も意味があるはず……!
決意を胸に魔王城にひとりで輿入れした私、カトリーヌ。
魔王は恐ろしい一つ目のミノタウロスだし、城の使用人たちはみんなモンスター。常識も人間とはずいぶん違うみたいで驚くことばかり。何度失神しかけたことか!
でも恐ろしい見た目と違って、みんなとても優しくしてくれた。
え? 魔族ってみんな残忍なんじゃないの? じゃあ人間と魔族ってどうしてずっと争ってたの?
それに王子は、見たことないくらい美しくて、美しすぎて逆に怖いくらい。
あんまり喋ってくれないし、無表情だし、政略結婚だから私に興味がないのかな、と思ったら、ぽつりと吐く言葉は甘くてドストレート。
心臓がドキドキして苦しい。私たち、いい夫婦になれるかも、なんて期待してしまう。政略結婚なのに、幸せになっていいのかな……。
幸せが怖い私の心を、王子と、魔王城のみんなが少しずつ柔らかくしてくれた。
幸せな新婚生活のなかで、不思議な感覚が芽生えた。
王子に触れられたり、優しい言葉をもらったり、使用人のみんなの温かさに触れると、ぽわん、と暖かな風が体の中に生まれるのだ。王城では優しくされたことが無いから、優しくされたときの感覚って分からなかった。ぽわん、ぽわん、が積み上がっていくと、さらに不思議なことが起こった。未来を見る力――《先見の力》が開花したのだ。
不安に思って王子に見てもらうと、元々持っていた力を封じられていたのが、解放されたみたいだった。封じられたのは赤ちゃんの頃。封じたのは、亡くなったお母様。
お母様の設けた解放条件は恐らく――「愛」を受け取ること。どうしてそんな解放条件にしたのかしら?
疑問に思いながら過ごしていたある日、人間側が和睦を破って攻めてくる未来を見てしまった。
そして私は気づいた。
「愛をくれた魔王城のみんなに、愛を返したい。私の力はきっとそのためにあるんだわ」
禁忌である未来の大改変に臨む私を、王子は止めようとした。
王子に心配をかけるのは辛い。でも、私の覚悟は変えられない。とうとう王子は一緒に作戦を決行しようと言ってくれる。
「僕は、二人の未来を一緒に受け止めたい」
そうして私達は、魔族と人を越えた、すべての民の平和のための作戦を開始した――。
「「嫁入りからのセカンドライフ」中編コンテスト」の中間選考の結果を発表させていただきます。
多数の力作を投稿してくださった皆様、並びに作品を読んでくださった皆様には、改めて深く御礼申し上げます。
※掲載の並びは作品のコンテストへの応募順となっております