月白のエスキヰス

　大正九年、故郷オランダで騒ぎを起こした寿太郎（じゅたろう）は、貿易商の父親と共に日本へやってきた。反省の色もなく、一枚の絵を探すためと公園をぶらついた寿太郎は、職務質問をされている所を美貌の青年深山信乃（みやましの）に助けられる。
　探し物に行き詰まっていた寿太郎は、手掛かりを求めて日本画に詳しそうな信乃に近づくが、深山家は複雑な家庭らしく信乃は頑なに拒否する。
　そんなある日、寿太郎は父親から仕事を言いつけられる。信乃の父である故深山白茲の贋作調査だった。寿太郎は家を守るためと固辞する信乃を説得して二人で贋作調査に乗り出すことになるのだった。依頼主の東城の翁も何かを隠していて、事態は混迷していく。
　画家になれなかった三人の男たちの過去と屏風絵に込められた謎を凸凹コンビが追うライトミステ…続きを読む