概要
あの絵を見てからというもの、彼女の姿が頭から離れなくなってしまう。
ご飯を食べているときも勉強をしているときも、お風呂に入っているときも。
四六時中、彼女はあの微笑んだ顔で私を見てくるのだ。
彼女は、私の夢にまで出てくるようになる。
私はこの苦しみから逃れることができるのだろうか?
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- ★★★ Excellent!!!どこまでも追いかけてくる恐怖
主人公は小さい時に「モナリザ」のレプリカの絵を見てから、その恐怖に取り憑かれます。
寝ても覚めてもモナリザが頭から離れない。
それは本当に恐怖だったことでしょう。
やがて大学生になり、水口さんというモナリザにそっくりな女性と出会います。
彼の恐怖がいかほどだったか。
水口さんが本当にモナリザそっくりだったかはわかりません。脳内補完があったのかなとも思います。
全体的にスピード感があり、ぐいぐいと読み進められました。恐怖をあおるのも上手いです…!
実は私もモナリザの絵が怖いので、他人事にも感じられなかったです…。
ラスト、納得のいくものでした。
彼はモナリザの元へ走っていったのだと思い…続きを読む - ★★★ Excellent!!!刻まれてしまった恐怖は、どこまでも
モナリザって、「世界でもっとも知られた、もっとも見られた、もっとも書かれた、もっとも歌われた、もっともパロディ作品が作られた美術作品」といわれているんだそうです。
つまり、絵画オブ絵画ということですね。
これには牛乳女もびっくりです。
さて、そんな有名すぎるモナリザの肖像画ですが、度々その作品は謎めいたものを人々に投げかけます。
「彼女はなぜ微笑んでいるのか」とか、「彼女はどういう人物なのか」とか、「そもそも彼女は実在したのか」とか。
つまり、彼女はとてもミステリアスな存在……謎の美女なわけですね。
そういうよくわからないものには、「未知の恐怖」と呼べるものの影があったりするわけで。
そ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!突出した芸術という「深淵」の何か。それに触れた時、「正常」が侵される
芸術。それは狂気と紙一重の領域にあるものだ、としばしば語られることがありますね。
天才の精神の発露。それを形にしたものである以上、それは「正気」とは別の領域に所属するものなのかもしれない。
そんな芸術作品に取り憑かれることは、日常、ないしは正常な世界を徐々に侵食されることになるのかもしれません。
本編の主人公も、幼いころに見た「モナ・リザ」の迫力に心を奪われます。
あの不思議なアルカイック・スマイル。それが常に頭から離れなくなり、ずっとそのイメージに追い回されるような日々を送ることに。
結果、ガールフレンドが出来てもうまく関係が長続きせず、「幸せ」をつかみ損ねる日々。「モ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!フフフフフフ……モナリザモナリザモナリザモナリザモナリザモナリザモナリ
モナリザ×ホラーとかいう「どっから湧いてきた」みたいな組み合わせが面白いです。柔軟にこういう結び付け方できるのセンスを感じますよね……!
主人公の「私」は小学生時代に美術館を訪れた際、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画『モナリザ』のレプリカを鑑賞します。そのとき「私」は美術としての美しさと同時に、底知れぬ恐怖を感じとります。
それからというもの、モナリザの微笑にだんだん脳が侵されて発狂していく「私」。
読んでいるこちらまで頭がおかしくなってきそうな描写の数々に唸らされました。
ラストも「これしかないな」と納得させられるようなオチで大いに頷きました。
全体としてはストーリーに…続きを読む