(昆虫)愛だよ!

はじめに申し上げておきます。
確信を持って言えますが本作品を拝読しなければ、先日イグ・ノーベル賞で脚光を浴びた昆虫『トリカヘチャタテ』に興味すら湧きませんでした。

本作品は何かと生理的嫌悪感に陥りやすい昆虫を題材、しかも長編小説ときたものだから、虫への耐性が子供の頃よりめっきり低くなった私には読了は修羅の道かもなあと思っていました。

違います。面白いのです。面白かったのです。

中年のモッさんによる見境いの無い昆虫愛、豊富な知識量すなわち情熱すなわち愛!きわまって脇汗フェチ!
それから忘れてはいけないのが角井貴子さんの天真爛漫さです。
どんどんと昆虫の世界へのめり込んでいく様子は、昆虫への嫌悪感が興味に移り変わる私の心情を映し出したかのようでした。

これは受け売りなのですが、嫌いなことにもちょっとだけ目を向けてみると思いもよらぬ発見ができます。
人の純粋さや情熱に触れ続けると、いつしか角が取れてしまうものなのですね。

ですから本作品はそのような力があると強く推して、終わりの言葉とさせていただきます。

どうもありがとうございました。

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