ラップは現代版言霊の世界なんだ!
- ★★★ Excellent!!!
日本語のラップがこんなにも生き生きと輝くものだと初めて知った。まるで現代版の「音響付き俳句&短歌」のようで、四字熟語や言葉のリズムを若い人が大切にしてくれるのも嬉しくて涙が出そうだ。
生きることへの、主人公の青く切ない思いを抱えた奮闘に、時に涙しエールを送りながら読んだ。素晴らしい作品に出会えたことに感謝したい。
エピローグは不用というレビューも拝読したが、私は在って良かったと思う。読後の余韻も楽しみつつ、またひとつ大人への階段を上がったkaguraに会えたのも嬉しいし、miyuちゃんと仲直りしたと勝手に勘違いしそうになっていたのを引き戻してくれたから。
ひとつだけ気になったのは、非常に純文学の才能ある作者が描く、特に冒頭の部分は、もしかしたらこの話に興味を持つ読者層に合うだろうかという点だ。もう少し噛み砕いて一文を短めにしたら、冒頭だけで去るような若い読者が減るのではと感じた。批判のつもりは全くないがそう取られたら申し訳ありません。
追記:書き忘れを思い出して戻ってきました。作中で、母親の余命告知の判断を医師がkaguraに委ねる場面は、同じ大人として、それはないだろうと、申し訳ない気持ちで一杯になった。家族として判断すべき状況なのはわかるが、せめてkaguraが後々後悔することがないように冷静な判断を下せるように医師や周囲が精神的なサポートをして欲しいと思った。でもkagura、君はよくやったと思うよ。偉いよ。遠くから拍手を送らせてね。