交互に立ち現れる正と負の要素が、読み手の心を振り子のように揺らす感動作

まず、想像以上に真っ直ぐな青春ストーリーで驚きました。
ヒップホップを題材にした音楽小説……ということで、最初は「読んでいて特殊な知識や感性が要求されるのではないか」などと先入観を抱いてしまうかもしれませんが(実は私がそうでした・苦笑)、気後れせずに是非読んで頂きたいお話です。
取り分け物語中盤あたりは、胸の奥が何度も詰まって、テキストを目で追い掛けながら息が苦しくなりました。

尚、ヒップホップの歌詞を絡めた文体が、いかに表現上優れた効果を生み出しているかに関しては、改めてここで仔細に説明するまでもないでしょう。着想も技術も絶品です。

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