これほどまでに〝人間味〟に溢れた作品を、私は他に知りません。
- ★★★ Excellent!!!
『言葉を紡ぐ』という表現がありますが、この作品はその一つ上を行っています。文字という糸で編み物をしているような、そんな繊細さ、丁寧さ、そして真心を感じました。
そうしてできた編み物は、時に寒さを防ぎ、また時に暑さを増長させます。
この物語には優しい人が出てきます。残酷なほどに優しい人がたくさん出てくるのです。
また、この物語には優しくない人も出てきます。環境のせいで優しくなれなかった人もいれば、あまりにも〝人間臭い〟人間も出てくるのです。
優しい人も、
優しくない人も、
優しくしたいのにできない人も、
優しくしたくないのにそうしてしまう人も、
当たり前ですが、人間です。
だから、この作品はどうしようもないほどに〝人間味〟に溢れているのです。
人間の心を、その揺れ動きを、ありのままを、丹精を込めて書き上げているように、私には感じられました。
みんなに知って欲しい、だけど、自分だけが知っていたい。
そういう作品に覚えはありませんか?
私にとって、この作品はその一つです。
だから、気軽に読んで、とは言えません。
是非、心して読んでください。
(第3章 3-1まで読んでのレビュー)