数奇な運命を背負った、ひとりの少女の物語。
史実に基づいたかのようなリアリティ溢れる時代背景をバックボーンとし、スリリングな展開の連続は圧巻です。
三十五万字強の長編ですが、物語は今で第五章。むしろ、ここからがこの物語の真骨頂と言えるでしょう。連載中の小説は、完結してからレビューするのが本来だと思われます。しかし多くのかたに、早くこの物語をご覧いただきたいと痛切に願うために、あえてここでレビューをさせていただきました。
世界を巻き込み、多くの犠牲者を出した大戦争の首謀者を祖父に持つブランカ。彼女がいったいどんなイバラの道を歩んでいくのか。
ブランカ自身もある策略によって、容姿が変貌させられます。誰もが目を背けるような彼女を、正体を知らずに優しく受け入れる人たち。
それゆえ苦悩するする姿に、知らず涙するシーンは幾つあるでしょう。
そして、運命の人ヴォルフと出会うことにより、さらなる苦難の道を選択せざるを得ないブランカ。
これでもか、これでもか、と次々にブランカを襲う難題。それでも生きていこうと決意する姿に、心から応援したくなります。
web小説の概念を超えた大河ロマン。この物語に早く気づいてください。そしてお時間を捻出してお読みください。
そうすれば、あなたもレビューを書きたくなるはずです。もっと多くのかたに読んでもらおうと。
短編では決して味わえない、長編でしか提供できない濃厚な感動を味わえるでしょう。
作品紹介文から推察できる通り、第二次大戦直後の欧州をモデルとした舞台で展開される群像劇です。ヒロインを中心に展開されますが、単純な恋愛物ではありません。殆どの登場人物が奥深く、人間の業を感じさせる動きをしています。
何故なら、作者は登場人物に、自分ではどうしようもない宿命なり過去を背負わせており、それを踏まえてもなお現在と将来の幸せを追求するように仕向けているからです。
既に30万字を越す大作ですが、佳境にも入っていない雰囲気です。脇役と思われていたキャラが主役と同じレベルで存在感を主張し始めています。立場の違う登場人物達が、自分と同胞の運命をより良き方向に転換させようと、蠢き始めています。
近況ノートによれば、間も無く執筆が再開されるそうです。一般的に長編好きは一気読みしたがると思います。読んでいる最中の興奮が途切れることは興醒めですから。でも、本作品はもう読み始めても良いと思います。欧州戦後史のような舞台設定と緻密な人物設定、丁寧な心情描写で深掘りした物語を、これから如何に収束させていくのか?このドキドキ感は、書店で完成品を購入したのでは味わえない、新鮮な感じの未経験な愉しみです。
まるでどこか海外のある時代に実在していたのではと錯覚するほどの世界観。どんどん引き込まれていくストーリー展開。そしてどの人も何か抱えていて、それぞれに感情移入する登場人物達。
丁寧な描写と作り込まれている設定に、シリアスな内容なのにするすると読めてしまいます。なのに素直に読み進めると「やられた…」と思うことも多数あり。そういうことか!そっちか!と何度思ったことか。
シリアスで重たい内容ですが、その中でも、その中だからこその恋愛要素があってハンカチ必須です。特に主人公のブランカが切なくて…。
第三章までの感想ですが、気になって眠れない日々が続かないうちに読みます!
50年代ヨーロッパがモデル、とそれだけでネット小説としては物珍しさを感じ、読んでみるとまずその世界観設定に感心を抱きました。
モデルはあるのだろうと察するものの、架空世界の国家の歴史や情勢が緻密に練られており、構想の時点からかなり計算されているのだろうなと感じました。
そしてストーリーに目を向けてみれば、『戦犯の孫』として過酷な運命を背負うブランカの姿に、目を離せず物語に没入してしまいました。
とにかく壮大で深く構成された作品でありながら、物語の緩急が凄まじく「えええいやいやコレどうなっちゃうのぉぉぉ」と、ボリュームの多い物語を一気に飲み込んでしまいました。
そしてヴォルフとの関係も、単なる身分の違いや擦れ違いの恋愛といったものではなく、より複雑で困難な関係性であり……。二人の今後も、とても気になる内容になっています。
本当に続きの気になる、良い物語でした。せめてブランカには幸せな結末が待っていてほしいものです。
この作品、控えめに言って傑作と称していいクオリティの高さです。
登場人物たちの背負う過去はとても重く、中でもヒロインのブランカは今でもその過去に追われ続ける過酷な運命にあります。
健気なブランカが悲しい目にあうと、はっきり言って胃が痛い。
けれど、続きが気になるから読んじゃう。
またブランカがひどい目にあった。胃がキリキリ痛む。
でも、ひょっとすると次の話ではブランカに救いがあるかもと思ってさらに読んだら……。
うわぁぁぁぁぁぁ! ブランカぁぁぁぁぁぁ!!
これの繰り返しです。ひどいよ、ふたぎ先生! こんなの、ブランカの行く末を最後まで見届けないと気になって仕方ない!
何が一番辛いかと言えば、ブランカの恋。
祖父が犯した罪を世界は許さない。そして、その「戦犯の孫」であるブランカのことも許さない。初恋の人でさえ……。
初恋の人ヴォルフには、ブランカの祖父とブランカ本人を激しく憎まざるを得ない恨みがある。「戦犯の孫」には、恋すら許されないのか……?
これは波瀾万丈なヒロインの苦しい恋の物語であり、(冷戦前夜の時代をモデルとした)混迷の時代を生きる人々の葛藤を描いた傑作群像劇なのです。
物凄く面白くて続きが気になるので、皆さんもぜひ読んでください! たとえ胃が痛くても!
ブランカに幸あれ!
(閑話まで読ませて頂きました。
続きを読んだら、このレビューも更新させて頂きます!)
第1章を読んで。
まるで人形のようだったブランカに、少女らしい感情が芽生えてくる様子、それがとても丁寧に描かれています。
その丁寧さ故、すんなりと感情を移入することが出来ました。
ですので、ブランカから見た感情そのままに、ヴォルフがとてつもなく格好良く見えます。
過去の辛さを抱えながら、それでいて人に優しく出来る人。
そんなヴォルフの生き様にも惹かれました。
ブランカだけでなく、読んでいる自分自身も心を開かせられているような気分になります。
これもひとえに、作者さまがブランカの感情の機微を繊細に、克明に、描写してくれているおかげです。
読み進めれば読み進めるほど、まるで自分がブランカと同化してしまいそうなくらい、心を掴まれました。
でも、だからこそ、1章の後半でブランカが運命に翻弄されると、胸が締め付けられるような気になります。
まさに『痛いほど』ブランカの気持ちが分かります。
これから舞台はロゼへと移りますが、この先、二人にどのような運命が待ち受けているのか、怖くもあり楽しみでもあります。
確かな描写で主人公と共に喜んだり、悲しんだり、そんな希有な時間を与えてくれるお話です。
読み終わった後も、しばらくこの世界から抜けられなくなるくらい、深く引き込まれました。
第2章を読んで。
施設を中心とした1章とは打って変わって、2章はブランカに降りかかる運命の悲惨さが色濃く出ています。
いくつかの希望、若干の安息がほぼ全て砕かれてしまう様子にハラハラドキドキが止まりませんでした。
(「作者さま、どうしてこんなに試練ばかり与えるの!?」って思っちゃうくらいでした(笑))
中でもアルトロワ広場での出来事、その描写は壮絶でした。
まるで自分がその場にいるかのような臨場感に思わず息を呑み、目を背けてしまいたくなります。
描写が緻密であるが故、ブランカの息づかいまで聞こえてきそうなシーンでした。
このシーン、引き込まれること間違いなしです!
その後、ようやく、ようやく安心出来る瞬間が訪れたかと思いきや……やっぱり自分の運命からは逃れられず……。
子供の頃の何気ない、悪意のない出来事まで試練に……(涙。
「ブランカ、どうなっちゃうの!?」というところで、次章へと続きます。
しっかりした表現が多く、じっくりゆっくりとしか読めませんが、だからこそ物語への引き込まれ方がすごいです。
少なくとも、僕は「読み終わるのがもったいない」と思ってしまうようなお話でした。
大切な宝物のページを捲るように、第3章も味わって読ませて頂きます。
こんな素敵なお話に出会えたこと、作者さまへ本当に感謝致します。
『言葉を紡ぐ』という表現がありますが、この作品はその一つ上を行っています。文字という糸で編み物をしているような、そんな繊細さ、丁寧さ、そして真心を感じました。
そうしてできた編み物は、時に寒さを防ぎ、また時に暑さを増長させます。
この物語には優しい人が出てきます。残酷なほどに優しい人がたくさん出てくるのです。
また、この物語には優しくない人も出てきます。環境のせいで優しくなれなかった人もいれば、あまりにも〝人間臭い〟人間も出てくるのです。
優しい人も、
優しくない人も、
優しくしたいのにできない人も、
優しくしたくないのにそうしてしまう人も、
当たり前ですが、人間です。
だから、この作品はどうしようもないほどに〝人間味〟に溢れているのです。
人間の心を、その揺れ動きを、ありのままを、丹精を込めて書き上げているように、私には感じられました。
みんなに知って欲しい、だけど、自分だけが知っていたい。
そういう作品に覚えはありませんか?
私にとって、この作品はその一つです。
だから、気軽に読んで、とは言えません。
是非、心して読んでください。
(第3章 3-1まで読んでのレビュー)