作りこまれた歴史大河の中に咲く試練と悲恋

50年代ヨーロッパがモデル、とそれだけでネット小説としては物珍しさを感じ、読んでみるとまずその世界観設定に感心を抱きました。
モデルはあるのだろうと察するものの、架空世界の国家の歴史や情勢が緻密に練られており、構想の時点からかなり計算されているのだろうなと感じました。
そしてストーリーに目を向けてみれば、『戦犯の孫』として過酷な運命を背負うブランカの姿に、目を離せず物語に没入してしまいました。
とにかく壮大で深く構成された作品でありながら、物語の緩急が凄まじく「えええいやいやコレどうなっちゃうのぉぉぉ」と、ボリュームの多い物語を一気に飲み込んでしまいました。
そしてヴォルフとの関係も、単なる身分の違いや擦れ違いの恋愛といったものではなく、より複雑で困難な関係性であり……。二人の今後も、とても気になる内容になっています。
本当に続きの気になる、良い物語でした。せめてブランカには幸せな結末が待っていてほしいものです。

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