「戦犯の孫」は、恋すら許されないのか?

この作品、控えめに言って傑作と称していいクオリティの高さです。

登場人物たちの背負う過去はとても重く、中でもヒロインのブランカは今でもその過去に追われ続ける過酷な運命にあります。

健気なブランカが悲しい目にあうと、はっきり言って胃が痛い。
けれど、続きが気になるから読んじゃう。
またブランカがひどい目にあった。胃がキリキリ痛む。
でも、ひょっとすると次の話ではブランカに救いがあるかもと思ってさらに読んだら……。
うわぁぁぁぁぁぁ! ブランカぁぁぁぁぁぁ!!

これの繰り返しです。ひどいよ、ふたぎ先生! こんなの、ブランカの行く末を最後まで見届けないと気になって仕方ない!

何が一番辛いかと言えば、ブランカの恋。
祖父が犯した罪を世界は許さない。そして、その「戦犯の孫」であるブランカのことも許さない。初恋の人でさえ……。
初恋の人ヴォルフには、ブランカの祖父とブランカ本人を激しく憎まざるを得ない恨みがある。「戦犯の孫」には、恋すら許されないのか……?

これは波瀾万丈なヒロインの苦しい恋の物語であり、(冷戦前夜の時代をモデルとした)混迷の時代を生きる人々の葛藤を描いた傑作群像劇なのです。
物凄く面白くて続きが気になるので、皆さんもぜひ読んでください! たとえ胃が痛くても!
ブランカに幸あれ!

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