主人公に訪れる運命の試練。でも、だからこそ目が離せない物語です。


(閑話まで読ませて頂きました。
 続きを読んだら、このレビューも更新させて頂きます!)

第1章を読んで。

まるで人形のようだったブランカに、少女らしい感情が芽生えてくる様子、それがとても丁寧に描かれています。
その丁寧さ故、すんなりと感情を移入することが出来ました。

ですので、ブランカから見た感情そのままに、ヴォルフがとてつもなく格好良く見えます。
過去の辛さを抱えながら、それでいて人に優しく出来る人。
そんなヴォルフの生き様にも惹かれました。
ブランカだけでなく、読んでいる自分自身も心を開かせられているような気分になります。

これもひとえに、作者さまがブランカの感情の機微を繊細に、克明に、描写してくれているおかげです。
読み進めれば読み進めるほど、まるで自分がブランカと同化してしまいそうなくらい、心を掴まれました。

でも、だからこそ、1章の後半でブランカが運命に翻弄されると、胸が締め付けられるような気になります。
まさに『痛いほど』ブランカの気持ちが分かります。

これから舞台はロゼへと移りますが、この先、二人にどのような運命が待ち受けているのか、怖くもあり楽しみでもあります。

確かな描写で主人公と共に喜んだり、悲しんだり、そんな希有な時間を与えてくれるお話です。
読み終わった後も、しばらくこの世界から抜けられなくなるくらい、深く引き込まれました。

第2章を読んで。

施設を中心とした1章とは打って変わって、2章はブランカに降りかかる運命の悲惨さが色濃く出ています。
いくつかの希望、若干の安息がほぼ全て砕かれてしまう様子にハラハラドキドキが止まりませんでした。
(「作者さま、どうしてこんなに試練ばかり与えるの!?」って思っちゃうくらいでした(笑))

中でもアルトロワ広場での出来事、その描写は壮絶でした。
まるで自分がその場にいるかのような臨場感に思わず息を呑み、目を背けてしまいたくなります。
描写が緻密であるが故、ブランカの息づかいまで聞こえてきそうなシーンでした。
このシーン、引き込まれること間違いなしです!

その後、ようやく、ようやく安心出来る瞬間が訪れたかと思いきや……やっぱり自分の運命からは逃れられず……。
子供の頃の何気ない、悪意のない出来事まで試練に……(涙。
「ブランカ、どうなっちゃうの!?」というところで、次章へと続きます。

しっかりした表現が多く、じっくりゆっくりとしか読めませんが、だからこそ物語への引き込まれ方がすごいです。
少なくとも、僕は「読み終わるのがもったいない」と思ってしまうようなお話でした。
大切な宝物のページを捲るように、第3章も味わって読ませて頂きます。
こんな素敵なお話に出会えたこと、作者さまへ本当に感謝致します。

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