君が手紙を書く理由を、僕はまだ知らない。

静かな春の日、大学生・高橋瑠璃の元に一通の手紙が届きます。
差出人は、かつての同級生・三枝晃。
しかし、その封筒に記された日付は、三年前のものでした。
「またここで会おう」――中学時代に交わされた、あいまいな約束。
進学、家族の事情、そして突然の事故。
二人の間に横たわる時間と距離は、埋めることができるのでしょうか。
手紙という「静的なメディア」と、人生という「動的な時間」の狭間で、
瑠璃と晃の心は、互いを求めながらもすれ違い続けます。
書かれなかった言葉、読まれなかった想い、
そして今、新たに紡がれる可能性の物語――。
桜の舞う春から始まり、夏の記憶を経て、冬の訪れとともに明かされる真実。
喪失と再生、別れと希望が交錯する三章の物語が、
あなたの胸に静かな余韻を残します。
「人は風景の一部…続きを読む