君のいる世界

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（1072文字）

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（260文字）

始めは人間と人外のほのぼの生活かなと思ったらある者の登場により……、読後感が良い作品です。

吸血鬼、それは不死の象徴。

この物語の主人公は最強のはずなのに、その片鱗を見せないスローライフ。

従者の淫魔メイトリアークと夢魔パトリアーク。

あまりにも無気力な吸血鬼に疑問が湧く。
本当に強いの？

圧倒的世界観にいつしか惹き込まれます。

そこへやってきた不遇な少女・フィリア。

そこへ明かされる吸血鬼の真の姿。
やっぱり強いんじゃん！

吸血鬼+従者+不遇な少女+筆者の文章力=重厚感のある名作

いつしか夢中でお話を読んでしまうでしょう。

第一話まで拝読しました。

無気力に生きる不死の吸血鬼と、過酷な運命にさらされた少女。
この二人の出会いが、淡く優しい救いとして描かれる。

平穏で詩的な日常描写と、突如訪れる緊迫の暴力シーン。
この緩急が、読む者の感情を心地よく揺さぶる。

キャラ同士の距離感が絶妙で、「恋愛未満のぬくもり」が心に沁みる。
文章は美しく、まるで絵画のような情景が浮かぶ。
淫魔や夢魔など脇役も魅力的で、静かなユーモアが光る。
ファンタジーでありながら、情緒で読む物語。
じんわり温かい読後感が、ゆっくりと読書するのにぴったりな一作です。
また続きを読みに来ます。

むかし、むかし、五人の吸血鬼がいました。
一人は大地に、
一人は水に、
一人は風に、
一人は木々に姿を変え、
最後のひとりは仲間たちの作った世界の移り変わりを、永遠に見守ることになりました。

こうして不老不死となった吸血鬼のクレストは有能な従者、
淫魔のメイトリアーク
夢魔のパトリアーク
と共に穏やかな時を過ごしていました。

そんなある日、クレストの住む森の外から人間と思われる悲鳴が聞こえてくる。
そこにいた少女との出会いから、クレストの穏やかな日々は一変することに。
穏やかな日々は、幸福感あふれる刺激的な生活に変わることになった。

しかし、少女を人里から離れた場所で生活させ続けるわけ…続きを読む

冒頭、長い年月を生き続けて無気力に堕ちた吸血鬼が森で静かに過ごす姿が描かれ、第2話では人買いに連れられた少女との出会いが、彼の世界を揺るがします。少女という光を見つける瞬間をしっとりと描き出し、吸血鬼の内面が描かれます。
長期の孤独の果てに無気力化した吸血鬼と、過酷な境遇を乗り越えた幼い少女が互いに救い合う姿が、詩的でしなやかに描かれた序章。ダークファンタジーながらも、深い情感と温かみを携えます。静謐な物語や心の成長を楽しみたい読者におすすめ。

スローライフを楽しむ脱力系吸血鬼と淫魔と夢魔。そこに人買いに売られそうになった少女が加わることによって物語が動き出します。
優しいんですよ。彼らの暮らしが。もう少女返すことないよっていうくらい。
途中で登場するダーク系悪役仕事人もまたいいキャラ。雇い主の貴族のクソ野郎もいい感じにクソでまたよき。ページをめくるのがワクワクする読書体験です。今、まさにクライマックス。ぜひぜひ読んでみて下さい！