概要
最後の願いは幻の再会。少女は去り、死神は皮肉に空を見る。
白血病で死んだ10歳の少女ユキは、死後の世界「灰色の狭間」で、退屈そうで皮肉屋な死神(案内係)に出会う。自分が死んだことを告げられたユキは、三途の川を渡る前に、もう一度だけ両親に会って別れを言いたいと強く願う。死神は、少女の現世への未練を断ち切らせるため、渋々ながら自身の力で両親の「幻影」を見せる。ユキはそれが幻影とは気づかぬまま、涙ながらに感謝と別れを告げ、満たされた気持ちで渡し舟に乗り、次の世界へと去っていく。一人残された死神は、「まあ、今のはただの幻影だがね」と冷ややかに呟き、変わらぬ諦観と共に次の死者の「手続き」へと向かうのだった。少女の純粋な願いと、死神の乾いた現実認識が対比され、物悲しい余韻を残す物語。
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