概要
どうして私の腹はふくれているのだろう
五島列島を南南西に四十キロ行った地点に鈍島(にびじま)と言う孤島が存在した。新興宗教マガツ教の信徒で構成された個人所有の島である。十五歳の少女「黒塚菊織(くろつかひおり)」は外界との関係を絶たれた環境で育ち、いびつな常識を獲得していった。しかし姉の不審な妊娠をきっかけにしてこの島の異常性に気付き始める。
一卵性の双子の姉「黒塚累(くろつかかさね)」が処女のまま妊娠した。既に妊娠三十五週目である腹には神様の子が宿るとされ、得体の知れない儀式に利用されようとしている。しかしどうにも菊織には姉の腹の中に何もはいっている様には感じられなかった。
二〇二五年八月二日、白沢探偵事務所で探偵助手として勤務している、かつての鈍島出身者「天海唯(あまみゆい)」は、菊織から、姉の累を救って欲しいと極秘裏の知
一卵性の双子の姉「黒塚累(くろつかかさね)」が処女のまま妊娠した。既に妊娠三十五週目である腹には神様の子が宿るとされ、得体の知れない儀式に利用されようとしている。しかしどうにも菊織には姉の腹の中に何もはいっている様には感じられなかった。
二〇二五年八月二日、白沢探偵事務所で探偵助手として勤務している、かつての鈍島出身者「天海唯(あまみゆい)」は、菊織から、姉の累を救って欲しいと極秘裏の知