感情の発露に貫かれる

この世界は魔術師と非魔術師の入り交じり、魔術師はひとりひとり異なる《特殊魔法》が扱えます。

しかし、魔法の使用目的は善悪によらない。魔法扱いは神の定めたルールに従って、厳格に定められています。
どれほど善意に満ちた行い、人類のための行い、救いをもたらす行い。
それが何であろうと、魔法を司る神・ゼノ様のルールを破れば、強制的に《天に召される》。

《天に召される》とはどういう意味か?
《天に召される》と魂はどこへ向かうのか?

まだ幼い子どもを主軸に進んでいくストーリーは、あまりに無慈悲で、キャラクターたちの感情の発露も相まって苦しいほどに感情移入してしまいます。

魔法の設定、世界の秘された真実、検査の不気味さ、マリアの存在……。
魔法の世界でありながらも、リアリティある人間らしさの描写・文体によって引き込まれる本作。

ご一読をオススメします。

その他のおすすめレビュー

中今透さんの他のおすすめレビュー139