死闘の定めに、情の鎖が巻きつく

神代の《天帝》によって殺し合いを余儀なくされた《天の姫》と《地の姫》、そしてその従者たち。
禁忌が犯された時、神代の到来は訪れ、一度は終わりを迎えたはずの殺し合いが再びはじまる。
延々と連鎖する理を断つ術は、未だ見つかっていない――。

現代において、神話は蘇り、《天の姫》と《地の姫》が再び現れた。
《天の姫》・神凪 千尋。
《地の姫》・神凪 咲希。
そう、彼女たちは双子の姉妹だった。

双子の姉妹が殺し合わなければならない定め。
一方は、負けない・強くなると、自分自身に誓いを立てる。
一方は、護るために人を遠ざけ、寂しさを背負って捨て身となる。
殺し、殺されるのは恐い。それは双子であり、かつ、二人を護ろうとする従者たちの存在も大きかった。

《天の姫》と《地の姫》の従者は立場は違えど、同じ里で育った者ばかり。
命を尊ぶ者。従者の立場に徹する者。友達を護りたいと思う者。

姉妹は、従者が自分たちを死なせないために命をかけることに対して、真摯に向き合い、お互い異なる意識を持つ。
従者たちは「使命」という呪いに蝕まれている。
この殺し合いには正義も仁義も大義もなく、ただ「そう定められただけ」のもの。

情が蛇のように絡みついた戦いの中で、彼女たちは何を思い、何を成し――、双子の姉を妹を殺せるのか。

身勝手な災厄と忌むべき因縁。
望まれたのは、片方が欠ける未来。
望まれたのは、この命の終焉。

この殺し合いに、一体なんの意味があるというのか……?

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