主人公フラムは、師匠であり育ての親でもある煌炎の魔女マルゼスから破門を言い渡され、住み慣れた『隠者の森』から追放されます。
マルゼスのような魔術士を目指していた彼は失意の中、あてどなく森をさまよい、そして出会います。
白羽根の聖女と呼ばれる見目麗しい騎士姿の少女、フェレシーラに。
出会い当初こそもめるふたりですが、次第にフェレシーラが疑問を抱きます。
「なぜあなたは魔術が使えないの?」と。
そう。
フラムは稀代の魔女に師事したというのに「魔術が使えない」のです。
破門・追放の原因もそこにあると落胆していたフラムですが、どうやら魔術発動の要素はすべてそろっている様子。
それ以外にも、フラム自身、かなり謎を抱えた生い立ちであり、育ちでもあります。
2つ年上のフェレシーラはそれも含めてフラムと旅をすることを了承し、フラムは彼女と暮らす中で、自分自身を見つめなおすことになります。
かなり作りこまれた設定と世界観ですが、読者を置いてけぼりにしていくことはありません。
というのも、物語はフラムとフェレシーラを中心に進んでいくからです。
……なかにはめちゃくちゃ登場人物が増えていって「誰だっけ、このひと。もう手に負えない……」という感じの長編ファンタジーが多い中、この物語はしっかりと視点を主人公ふたりに据えていてくれているので、ぶれていくことがありません。
ボーイミーツガールの要素も含まれており、「鈍いぞ、フラム!」とツッコみなんかもれいつつ、ふたりの旅は続いています。
ぜひ、フラムの謎、世界の謎をお楽しみください!
(カクヨムコンテスト中は毎日更新の予定らしいですよ!)
主人公のフラムは魔術士として致命的な問題を抱えていて、師であり育ての親から破門されるという場面から物語は始まります。それだけだと、なんだか追放系の作品を彷彿とさせるのですが、安易にざまぁなどに走っておらず、人間関係が丁寧に描かれており、主人公とともに再起を図っていく感覚を味わえる作品と私は感じました。
また、ただ丁寧に描くだけでなく、話の中で見どころを意識され、書きたいものを読まれるものへと落とし込むような、読者に寄り添っている印象が強く感じられました。それは公開されているエッセイから垣間見える、血のにじむような努力もご覧になれば、納得のいくところです。
作者様はTRPGのGM経験もあるとのことなので、その経験がかなり活きているのではないかと思いますが、緻密で説得力のある設定が全般的にされています。魔術関係の設定は物語の根幹をなすこともあって、特に力が入っていると思われます。
本格ファンタジー寄りではありますが、前述のとおり読者目線をかなり意識されていることから、非常に読みやすい作品であり、非テンプレで良質な異世界ファンタジーを読みたい方へ強く勧められる作品となっています。
膨大な魔力を持ちながらうまく術法を操ることができないと判じられ、追放された少年の旅立ちと出会いの物語。
主人公フラムは15歳までに術法を使いこなすという約束を守れずに偉大な師匠に破門され、やむを得ず住み慣れた隠者の塔から旅に出る。
失意のうちに出会った少女は白羽根の神殿従士と呼ばれる最強クラスの騎士だったが、彼女はフラムのことを魔物を思い込み、いきなり殺しにかかって来る。
少女フェレシーラがフラムを襲った理由は、フラムとそっくりな見た目の魔物を討伐する役目を受け持っていたからであるが、そんな魔物が存在することですでに殺されかかるという被害を受け、後々の事を考え、フラムはフェレシーラに旅の同行を、強引な方法であったが勝ち取ることができた。
感想:長い間塔から滅多に外に出ない生活を送っていたフラムを、フェレシーラは初めは年下扱いしたり、術法の知識の無さを疑っていたが、2人で行動するようになってからは少しずつ打ち解け合い、信頼が深まって行く過程が非常に微笑ましい。
1人で活動をする白羽根の神殿従士フェレシーラは時には逞しく、時には女の子らしいそぶりを見せるところがかわいいし、常に真剣で一生懸命なフラム君は応援したくなる。
読んでいると2人といっしょに旅をし、時には笑い、時には泣いている感覚になる物語である。
まだ拝読しているのは序盤ですが、すぐに「この作品は少しづつ大切に読みたい」と感じました。
緻密にてっていして作り込まれてるんだろうな、と感じる世界観とそれを土台とした高い筆力による描写。
そして、斬新で魅力的なヒロイン、フェレシーラさん。
最初の出会いも驚きですが、とにかく……上手く言えませんが、初見でけっして忘れることのできない魅力をぶつけてきます。
そんな魅力の塊の様なヒロインと、主人公の少年によるボーイミーツガールが、懐かしさや爽やかさを感じる描写によって、読む手を止めさせません。
適切な例えではなくて恐縮ですが、個人的に良質な外国のファンタジーを読んでいるような雰囲気を感じました。
ボーイミーツガールが大好き諸君。
朗報です。
この作品を読まずして、ボーイミーツガールは語れまい。それぐらい、ボーイミーツガールの金字塔に出会ってしまいました。
まさかの破門から術法的不能を抱えながらも一人前の魔術士を目指し努力を続けていた、フラム君。破門され、生まれ育った森を彷徨う彼に、神殿従士の少女フェレシーラと出会うわけですが……。
丁寧に丁寧書かれる、物語。
最初からチートはない。
いきなりのラブラブもない。
でも、じれったくらい、二人が距離を埋めていく。その過程が良い!
鈍いフラム君。年下の彼は、子どもっぽさが時に出る。それを杭ながら、前進するのが良い。
世間ズレしたフェレシーラさん。今まで一人で立ち回っていた彼女に、初めてパートナーができて……。
さらには物語の途中、二人の家族といっても良い厳重との邂逅。まるで二人の子どものような様は、全世界モフスキー必見。
破門された謎。そして主人公フラム君は、本当に術的に不能なのか。一見すれば、立場の違う二人、どこかで終わりがきそうですが……。
兎に角、これからの期待度が高い。かつ、まだまだ先の展開が読めない本作。
今からでも、一緒に旅に出ませんか?
旅をしよう、少年少女と幻獣で この世の果てまで旅をしよう
相手のことを理解し進む真っ直ぐな旅路! 君と一緒に世界の向こう側へ!
今から一緒に旅をしよう!