エッセイと合わせて二度おいしい、良質な異世界ファンタジー

主人公のフラムは魔術士として致命的な問題を抱えていて、師であり育ての親から破門されるという場面から物語は始まります。それだけだと、なんだか追放系の作品を彷彿とさせるのですが、安易にざまぁなどに走っておらず、人間関係が丁寧に描かれており、主人公とともに再起を図っていく感覚を味わえる作品と私は感じました。

また、ただ丁寧に描くだけでなく、話の中で見どころを意識され、書きたいものを読まれるものへと落とし込むような、読者に寄り添っている印象が強く感じられました。それは公開されているエッセイから垣間見える、血のにじむような努力もご覧になれば、納得のいくところです。

作者様はTRPGのGM経験もあるとのことなので、その経験がかなり活きているのではないかと思いますが、緻密で説得力のある設定が全般的にされています。魔術関係の設定は物語の根幹をなすこともあって、特に力が入っていると思われます。

本格ファンタジー寄りではありますが、前述のとおり読者目線をかなり意識されていることから、非常に読みやすい作品であり、非テンプレで良質な異世界ファンタジーを読みたい方へ強く勧められる作品となっています。

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