美味しく食べて、糧にする　～あの日食べた魚のヘソが何なのかわからない～

　犀川賞に出されたエッセイの中で、私が賞を出すとしたらこれかなって感じです。

　えっと、筆者は幼い頃、祖父の家で「魚のヘソ」という食べ物を食べた記憶がありました。祖父は投網で川魚を捕り、その日の夕食として家族で食べていました。魚のヘソは爪楊枝に刺された小さな白い輪の形をしており、とても美味しかったと記憶しているんです。

　とある日、突然この記憶が蘇ります。そして「魚にヘソはないはず」という疑問が湧きました。母親に尋ねても正体は分からず、インターネットで調べると「ボラの幽門」という可能性に行き着きます。しかし、完全な確信は持てないままなのです。

　この探求を通じて、筆者は祖父から受け継い…続きを読む

親がご飯を作るからと言って、子どもができるとは限らないし、
色んなご飯を食べても、その中身がなんなのかわからないまま食べたりして。

案外、目の前で行われていたり、あったりしても、わからないものって多いですよね。

しかし冷静に考えれば、「あれ……？」ということも。
魚は卵生なんだからヘソがあるわけがない。そしてボラは海水魚である。

その正体を探るため、作者様は思い出のジャングルへと向かった――。

果たして、魚のヘソの正体やいかに。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（351文字）

消えゆく日本の様々な文化や知恵、おじいちゃん、おばあちゃんの知恵袋。

そんな中の一つ、思い出の「ヘソ」を探す旅の話。

感慨深いものがあります。