概要
お役者目明し浮多郎は逆さ十字架の謎を追うが江戸の闇は深まるばかり
「大黒屋を乗っ取り商売を大きくして裏の金貸し業で財をなした叔父上は、金の力でひとを思い通りに動かす快感を知った。それで、教団の長老の益田ジュアン當間をかたって関八州の隠れキリシタンの裏の頭目になってこの世にもあの世にも天国を作るなどとの過激な思想で信者を集めはじめた」
【86】
エリスは、「まさか」という顔で浮多郎を見つめた。「鉛製のクロスは、寛永年間の天草四郎の乱で原城に籠城した一揆軍が使った銃弾を溶かして作ったものです。・・・どうも父母を殺したのは、宗門改めではなく、同じ教団の人間のようです」
と浮多郎が何事もないようにいったので、エリスは浮多郎を見上げて目を見開き、息を飲んだ。
【85】
「やらん。蔦屋重三郎の仕事などもうやらん」
東洲斎がきっぱりといった。
「えっ、・・・やらんだ
【86】
エリスは、「まさか」という顔で浮多郎を見つめた。「鉛製のクロスは、寛永年間の天草四郎の乱で原城に籠城した一揆軍が使った銃弾を溶かして作ったものです。・・・どうも父母を殺したのは、宗門改めではなく、同じ教団の人間のようです」
と浮多郎が何事もないようにいったので、エリスは浮多郎を見上げて目を見開き、息を飲んだ。
【85】
「やらん。蔦屋重三郎の仕事などもうやらん」
東洲斎がきっぱりといった。
「えっ、・・・やらんだ