概要
泪橋の浮多郎は逆さ十字架の謎を暴こうとするが江戸の闇は深まるばかり
吉原土手を駆けた先の玉姫稲荷の裏の墓地で十字架が燃えていた。
・・・ふつうの十字架ではなく、横木が下で地面すれすれについた逆さ十字架だ。
燻る腐肉の匂いと油の匂いが墓地に漂っていた。
燃えているのは十字架だけではなく、五寸釘で打ちつけられたのか、逆さの男が十字架と一体となって土饅頭の上で燃えていた。
【Ⅰ】
受刑者が刑場へ着くと、非人が手伝って馬からおろす。罪木柱という十字架が地面に倒してある。長さ二間、五寸角の柱に横木が二本という構造。その罪木柱の上へ受刑者を仰きに寝かせ、褌ひとつの裸にして、手足を横木に縛りつける。さらに腰のところを、縄を二重にして縛り、それが終わると非人の手で罪木柱を起こす。下部を地中に埋めてしっかり固定する。
突き手は、白衣に股引、脚絆をつけ、尻端折りに縄襷というい
・・・ふつうの十字架ではなく、横木が下で地面すれすれについた逆さ十字架だ。
燻る腐肉の匂いと油の匂いが墓地に漂っていた。
燃えているのは十字架だけではなく、五寸釘で打ちつけられたのか、逆さの男が十字架と一体となって土饅頭の上で燃えていた。
【Ⅰ】
受刑者が刑場へ着くと、非人が手伝って馬からおろす。罪木柱という十字架が地面に倒してある。長さ二間、五寸角の柱に横木が二本という構造。その罪木柱の上へ受刑者を仰きに寝かせ、褌ひとつの裸にして、手足を横木に縛りつける。さらに腰のところを、縄を二重にして縛り、それが終わると非人の手で罪木柱を起こす。下部を地中に埋めてしっかり固定する。
突き手は、白衣に股引、脚絆をつけ、尻端折りに縄襷というい