概要
泪橋のお役者目明し浮多郎は逆さ十字架の謎を追うが江戸の闇は深まるばかり
この世の終わりに、神と悪魔の軍勢が果てしなく戦い、ついには神の軍勢は敗れ、地獄の闇の底で蠢く魑魅魍魎が千切れた兵士の死体をむさぼり喰らう夢を浮多郎は見た。
「浮さん、たいそうひどくうなされていたねえ」
眉を寄せて顔を曇らせたお新がのぞきこんだ。
寝ている間に暑さしのぎに煽いでいてくれたのか、お新は東洲斎写楽が描いた役者絵のうちわを手にしていた。
【99(最終章)】
再び森へもどったジェストは、折れそうもない大ぶりの枝を選んで縄を架け、首を吊って果てた。
【98】
「東洲斎、どうにもこの財宝を受け取ってくれぬか」
ジェストは杖の先で地下の宝物殿の降り口の熱でひしゃげた鉄の扉を再び叩いた。
「くどいな。下司のものは受け取れぬと申しておろうが」
「おのれ」
と叫んだジェストはいきなり仕込み杖を
「浮さん、たいそうひどくうなされていたねえ」
眉を寄せて顔を曇らせたお新がのぞきこんだ。
寝ている間に暑さしのぎに煽いでいてくれたのか、お新は東洲斎写楽が描いた役者絵のうちわを手にしていた。
【99(最終章)】
再び森へもどったジェストは、折れそうもない大ぶりの枝を選んで縄を架け、首を吊って果てた。
【98】
「東洲斎、どうにもこの財宝を受け取ってくれぬか」
ジェストは杖の先で地下の宝物殿の降り口の熱でひしゃげた鉄の扉を再び叩いた。
「くどいな。下司のものは受け取れぬと申しておろうが」
「おのれ」
と叫んだジェストはいきなり仕込み杖を