概要
寛政6年12月で能楽師の十郎兵衛が東洲斎から引き継いだ写楽が終わった!
とんだ騒ぎになった花見の宴の席に背を向けて歩み去る浪人に向かって、
「東洲斎先生!」
浮多郎が呼びかけた。
「先生が甚兵衛を?」
浮多郎がたずねると、東洲斎は無精髭の顎を撫でながら、
「拙者ごときも、たまには風流のこころをおこして花見としゃれこむこともある。おかしいかな・・・」
と笑いかけ、悠然と桜吹雪が舞う丘を下って行った。
(その62・最終章)
浮多郎の目の前で愉快そうに何度目かの大盃を飲み干した甚兵衛が、不意に手足をばたつかせて宙を舞った。
花吹雪を散らせた桜の枝が大きくしなり、いつの間にか首に巻かれた縄が二代目甚兵衛を天高く吊り上げた。
(その61)
「さあ、ここで真実を語ってもらおうか」
と鬼熊の留吉は十字架上の甚兵衛に話しかけた。
甚兵衛は顔を上げたが、何も答えない。
「真実
「東洲斎先生!」
浮多郎が呼びかけた。
「先生が甚兵衛を?」
浮多郎がたずねると、東洲斎は無精髭の顎を撫でながら、
「拙者ごときも、たまには風流のこころをおこして花見としゃれこむこともある。おかしいかな・・・」
と笑いかけ、悠然と桜吹雪が舞う丘を下って行った。
(その62・最終章)
浮多郎の目の前で愉快そうに何度目かの大盃を飲み干した甚兵衛が、不意に手足をばたつかせて宙を舞った。
花吹雪を散らせた桜の枝が大きくしなり、いつの間にか首に巻かれた縄が二代目甚兵衛を天高く吊り上げた。
(その61)
「さあ、ここで真実を語ってもらおうか」
と鬼熊の留吉は十字架上の甚兵衛に話しかけた。
甚兵衛は顔を上げたが、何も答えない。
「真実