写楽の終わり~寛政捕物夜話21~

藤英二

獄門

獄門は梟首とも言い、獄舎の門にかけるからその名があるが、江戸時代は獄舎ではなく小塚原か鈴が森に晒した。

獄舎で首を切るまでは死罪に同じ、●人がその首を水で洗って苞に入れ、獄門検使役に渡す。

検使は年寄同心で、南北奉行所から一人ずつ出ている。

検使の指揮により下の順序で行列を作り晒場へ行く。

六尺棒持●人二人 捨札持●人一人(捨札に罪状および刑罰を略記) 朱槍持●の者(●●頭弾左衛門配下 白衣帯刀)二人 刑首持●人二人(首をもつこに入れ、青竹を刺して担いでいる)捕物道具持●の者手代二人  宰領横目二人(●人小屋頭 白衣) 検使与力 警護の同心(但し罪が重く附加刑の引き廻しがある場合はまっ先に罪状を書いた紙幟を立てた)

晒場には定めの獄門台がある。

二本の支柱に首置台を乗せたもの。

長さ四尺、幅八寸、厚さ二寸の板で、高さは四尺ある。首が二つの時は首台の長さ六尺、首三つの場合は八尺にこしらえた。

首台裏から五寸釘を打ち出し、それに首を刺し留めておいた。

晒す期間は三日二夜。

その間、●の者六人、●人六人で見張りをする。

そのため●人番小屋があった。

期間が過ぎると、係の奉行に伺い、取り捨てた。

捨札は三十日間その場所に立てられていた。

『御定書』によれば、獄門の罪には下のものがある。

➀密通して実夫を殺すよう勧めて手伝った者

②密通女で実夫を傷つけた者

③多数で有夫の女を姦したその親玉

➃養母や養娘と密通した男

⑤人相書のお尋ね者を隠しまたは召し使って届けぬ者

◇以下は引き廻しのうえ獄門

⑥金をつけた貰い子を捨てた者

➆毒薬を売る者

⑧似天秤・似舛を作る者

⑨強盗殺人

➉主人の親類を殺した者

⑪舅・叔父伯母・兄弟を殺した者

⑫支配を受ける名主を殺した者

(稲垣史生著『考証「江戸町奉行」の世界』)

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