東洲斎写楽の誕生~寛政捕物夜話3~
藤英二
磔
磔の刑は十字架に縛りつけ、槍で突き殺すもの。武士にも庶民にも適用された。
場所は鈴ヶ森か小塚原。
時には犯罪の行われたところ、関所破りはその関所の近くで執行された。
付加刑の闕所と引き廻し、あるのとないのがある。
(中略)
受刑者が刑場へ着くと、●人が手伝って馬からおろす。
罪木柱という十字架が地面に倒してある。
長さ二間、五寸角の柱に横木が二本という構造。
その罪木柱の上へ受刑者を仰きに寝かせ、褌ひとつの裸にして、手足を横木に縛りつける。
さらに腰のところを、縄を二重にして縛り、それが終わると罪木柱を起こす。
下部を地中に埋めてしっかり固定し、さらに検使はふたたび名を聞いて本人にまちがいないことを確かめる。
突き手の●人は、白衣に股引、脚絆をつけ、尻端折りに縄襷といういでたち。
まず二人が槍を取って左右に分かれ、罪木柱の側面二尺をへだてて立つ。
先ず「アリャアリャ」と声をかけ、受刑者の眼前で槍の穂先を合わせる。
見せ槍という。
(中略)
見せ槍につづき、二、三度と素突きしてから体を構え、一人が右の脇腹から左肩先まで一気に貫く。
穂先が出ること一尺余。ひと捻りして槍を抜く。代って他の一人が、左の脇腹から右肩へ貫き通し、あとはかわるがわる突くこと二十四、五突きから三十突きまで。
ひとひねりして槍を抜く。
槍を伝う血は藁で拭って突きつづける。
すでに受刑者が息絶えようとするとき、左右から喉を突くのだが、これを止め槍という。
死体はそのまま三日二夜晒される。
(稲垣史生著『考証「江戸町奉行」の世界』)
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