第11詩 かたぐるま


ひょうひょうと父は立ち上がり


子どもははしゃぎ通して


父の肩車にのる


~たかいたかい!~


部屋中を子を乗せた父は


夢酔い気分で歩きまわる


~たかいたかい!~


子は頭の上の天井を


父の肩の上から伸び上がって


面白可笑しくさわりたいのだ


天井すれすれに焦(じ)れったく


その小さな五本の指が くゆり くゆら わや と


もがくこともがくこと!



父の肩車の上で


子の眺めみる世界は広い


父は飽きるまで


~たかいたかい!~


と 春鳥のようにさえずり


部屋中を練り歩く



やがて父は疲れると


子を肩から下ろして


胸の真ん中で


抱きしめる



子は父の腕間から


二本の足を


ぶらぶらとさせる


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