第25詩 あそび


夕焼した雲間から


覗いているのは輝きです


その光景を遠く見つめているのは


まだまだ寝小便という年頃の


多吉という少年です



  (あの子はなんとまあ ふっくり

   お地蔵さんみたいな顔なのでしょう)



多吉を見るとみんなはそう呟いて


家路へ急いで帰って行った


多吉のそばで一輪だけ咲いているのは


冬に狂い咲いた 桃の花


暮れてゆく森はカサコソと幻想を鳴らし


カラスはすげなく鼻唄をやる



  (やあい! やあい! もものおじぞうさん

     あまく うるんだ もものおじぞうさん)



いつしか多吉は遊び帰りの童女たちに


かこまれて囃子(はやし)たてられてしまう


柿のように甘い 一日の遊び残した部分を


子どもたちはこれから遊ぶ


帰り際の みじかな 最後の遊びが幕開く!

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