第9話 真冬べっぴん唄


~おかめ!ひょっとこ!水戸納豆!

うぐいす!きんとき!甘納豆!~



まふゆ雪国冷たい野原


冷える空気は冷凍庫


凍えガチガチ歯が鳴りやまぬ


霜は山樹にふりかかり


もやと幻想 水墨画


霜華おどる曼陀羅もよう


野の鷺赤い目をつむり


野の狐狸ねどこで夢芝居


オナガ尾をふり雀の豆まき


キジも飛ぶ飛ぶ雲の袖



~おかめ!ひょっとこ!水戸納豆!

うぐいす!きんとき!甘納豆!~



冷たい風よ頬にビンタ打ち


ヒリヒリやけに痛いじゃないか


鼻ひょうたんもでるはでる


うやうや流れる水飴のよう


わらしは青いはんてんを着て


毛糸の帽子をかぶってる


わらしはひとり野原を歩く


はだかの野原をどこまでも


ひろがる地平の果てまでも


行けやしないがその意気で


足跡しらり しらしらり


足音ステステ ステレッタ



(おや ゆきんこのやつ ふってきたな のはらのおっ母も今夜はさ ほかほかの雪ばかまをはいてさ……)



わらしは野原の真ん中で


雪空あおぐ楽しさよ


顔にさよさよ銀雪(ぎん)の舞


あんぐり口を大きくあけて


雪をたべたべ舌つづみ


飯つぶこぼすなかれと叱られた


この雪米は母の味


ひとしお美味しくおあがりなさい


凍野のどこかで声がする



~おかめ!ひょっとこ!水戸納豆!

うぐいす!きんとき!甘納豆!~

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