第5詩 ブランコ


ゆら ゆらんこ

ユら ユらりこ



太一と春美は雨上がりのブランコに乗って

気持ちのいい朝の風の波間にゆれている

ふたりの手は太陽に温められて

あじさい色ににじんで光る



きゅら きゅらんこ

ギゅら ギゅらりこ



どっちが遠くまでズックを飛ばせるか?

まもなくブランコ越しにそういう話が持ちあがり

いつの間にかふたりも元気よく

たがいちがいの熱い振り子にに変身



(イッセイ の セッ!)

(ヨッセイ の セッ!)



ふたり交互に風船をわったような声で

ズックを舞い上げた



ぐんぐんと空と大地にゆれる

ブランコの荷台から

ふたりの瞳に

遠く真っ白な 雲の丘が見えた



春美のズックは公園のすみっこの

やなぎの高い梢に 引っかかった



太一のズックはまっすぐ公園の囲いを越えて

真っ黒なドブのみぞに はまった



るら るらんこ

ルら ルらりこ



驚きと喚声! のまっただ中に

ふたりのちいさな胸も

ラムネのジュースの味に染まる

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