数多の引き出し、無数の恐怖

作者のここプロ様は、カクヨムにおける短編ホラーの旗手の一人と言ってしまって良いかと思います。こちらの他、「奇箱」という短編集も執筆されていますので、構成の巧さは言わずもがなです。

こちらの短編集、基本的には独り語りのオーソドックスな形を採りながら、驚愕なのはその展開の豊富さです。
どうにも救いのない怖さから、異世界に足を踏み入れた様な底知れない不安、この先どうなったのかと心配になる想像の余地…等、一話、或いは数話に渡ってどっぷりと恐怖に浸れます。
個人的には、想像力を掻き立てられる言葉や描写がとにかく秀逸に感じます。たった一言、たった一行で突然ぞわりとさせられたりするんです。

同時に、と特色のひとつでもある多彩なオチにも言及したいのですが…あまり語り過ぎてしまうのも、怖さを削いでしまいます。
先ずはどうかご一読下さい。思わず息を呑んでしまう一話が、この中にはきっとあります。

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