凄ーく気後れしながらこのレビューを書いています。こんな経験は初めてです。
ですが、全話を拝読して二日、未だに興奮が覚めないので、書かせていただきます。
この物語は、言わずと知れた三國志演義を下地に、曹操率いる魏にスポットを当てて展開しています。熾烈な三国時代を生き抜いた曹操と彼の配下達が、都度語り手を変えながら、読み手に語りかける一人称のスタイルです。
拝読する限り、作者様の曹操愛、ひいては魏への愛は相当の熱量です。参考文献の多さからもその一端が窺えるのですが、なにより、語り手となる武人達が全員、伸び伸びと生を謳歌しているんです。ご一読いただいたのなら、すぐにこの意味が分かっていただけるはずです。
それでいて、作者様の解釈がまた非常に興味深いんです。ネタバレになってしまうので多くは語りませんが、例えば某武人の隠された真実。きっと参考文献によるものなのでしょうが、それをああいった形で膨らませて帰結させたのは圧巻でした。
肝心なところを避けている為、およそレビューらしからぬ内容になってしまいましたが……。
作者様自身も仰る通り、とにかく曹操と魏が好きな方なら勿論、三國志をちょっとだけかじった事がある方等にも俄然お勧めします。今まで知らなかった顔を見せてくれる曹操達に、否応なく心が弾んでしまう事請け合いです。
是非、ご一読下さい。
三国志の魏が成立する頃のお話です。
三国志。小説でも漫画でもゲームでも良く関わりました。歴史物を見ると、ひとこと紹介のように血のつながりの重要性を、強く感じてしまいますよね。
でも水の方が濃い事もあるようです。劉備の三兄弟とかが有名ですが、実は曹操側にも沢山あったんですねぇ。勉強になりました。
このお話では、素晴らしい人材が生まれ、育ち、活躍して儚くなっていきます。でも彼らは必ず何か爪痕を残すのですよね。憎いなぁ。
昔も今も、形は変われど戦争がどこかで起こっています。嘘っぱちでも偽善でも良いですから、平和な世の中になれば曹操も苦笑いで応えてくれるんじゃ無いですかねぇ。