第12話

遥か下まで続く階段。

深淵への誘いのような景色。

軽快に進む鼻歌混じりの美少女。


「インフルエンサの階段降りる〜君はまだ一般人さぁ〜ただの美少女降りる〜将来はインフルエンサ〜♪」


よくわからない歌を唄いながら某有名歌番組の階段を降りる歌手達のようにみのりは降っていく。


〈天使降臨じゃんみの〉

〈これが天使の階段みの〉

〈歌詞は意味分からんけど歌うまいなみの〉

〈みのみのみのみのみ〉

〈ギルド探索隊40層まで制圧だってさ〉

〈帝都で研修中だった学生達も保護されたってよ〉

〈まってみのみのマジで今何層にいるんだみの〉

〈ギルド配信も同時に見てるけどみのみのちゃんの階層まではまだ遠そうやな、知らんけど〉


(ギルド探索隊40層まできたのか〜そういえばクラスのみんなは今どうしてるのかな)


ふと気になってメッセージアプリを見ると

家族、友達、クラスメイト、先生からの大量のメッセージだった。


自分は大丈夫な事をそれぞれに伝え、

ギルド探索隊に追いつかれたら帰ると言ったら

少し小言を言われたがみんな了承してくれた。


家族は心配していたが、探索者になった時点で自分の選択や命には自身で責任を取るつもりである事は理解してくれていたので何通かのやり取りで納得してくれた。


ピコン。

〜帝都立桜華探索学校3-Aクラス〜


委員長[まったく…とりあえずみのりの無事を確認できてよかった。私たちのほとんどは探索隊に助けられて地上の避難所にいるから]


みのり[把握( ᐛ👐)パァ]


委員長[ただ、体調不良で早退して地上に戻ったはずのエミリー皇女殿下がいないの…みのり一緒にいたりしないよね?」


みのり[エミエミいないの!?]


委員長[エミエミって…まぁいいわ。そうあなたが早退するちょっと前にエレベーターで地上に戻ったはずなんだけど。まぁお付きの人の中でも2人は元A級探索者だし何もないと思うけど]


みのり[スタンプを送信しました]


(もしかして、もう一つ消えたエレベーターの中にいたって事なのかな。大丈夫かな…。

ん?けどまってピンチに陥ったプリンセス。

そこに颯爽と現れる美少女。

姫の危機を救うとかバズるでしょこれ!)


「待っててね!エミリー今、私が行くわ!」


決意を新たに階段を駆け降りる。

少し不純な動機を孕んだ感情と友情に突き動かされみのりはダンジョンを進んで行く。


階段を降りた先には一面の緑の世界が広がっていた。今回の階層は密林のようだ。

高く高く生い茂る木々と肌にまとわりつくような暑さ。

太陽は木々に隠され森の中は少し薄暗かった。


「うっはぁ〜ジャングルだ。ジャングル」


四方から響くは獣の唸り声と鳥の鳴き声、木々のざわめき、森への異物を住民達は排除せんと。

そういった意思を感じた。










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