ボーナストラック3 (寄り)添(っては)い(る)寝
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《脳内に響くような八葵の声》
[八葵]『……1789年に起きたフランス革命後の混乱の収拾は、ヤツキチャン・ボナパルトの功績が大きいです。色々といい感じにまとめ上げて、後世に名を語り継がれる偉人となったのでした』
(寝苦しそうに首だけ寝返りを打つあなた)
[八葵]『
聞き覚えのある作家ですが、どこか作品名に違和感を覚えます。
[八葵]『八平方の定理。中学数学では欠かせない、ヤツゴラスが提唱した定理のひとつです。憶えていないとは言わせませんよ』
夢現のあなたはツッコミたくてもツッコめません。
[八葵]『と、井雲八葵さんは古代から襲名されている、今挙げなかった、名の通った偉人ですらもこぞってオマージュしたがる名前なのでした……』
流石に夢現のあなたでも、勢いよく目を覚ましました。
[八葵]「そんで、八葵ちゃんには定期的にお菓子と甘酸っぱ〜い恋物語を……」
(場所は図書室。うたた寝をしていたあなたの隣席に座っていた八葵は、あなたの耳元に口を近づけて言葉を発していました)
[八葵]「あ、起きちゃった。八葵ちゃん学を仕込もうと思ったんだけどな、残念残念」
(赤面し、顔をゆっくりと遠ざける八葵)
[八葵]「っふふ。近くて驚いた? 添い寝の距離で狼狽えた? だって、八葵ちゃん学はウィスパーボイスで伝えてナンボですからね! 仕方ない仕方ない」
(顔を背けて饒舌に喋る八葵。あなたは肩を叩きます)
[八葵]「えぇ? すごい耳が赤い? なんでそっぽ向いて喋るんだ、って? ……近すぎてちょっと照れたの。察しておくれよ朴念仁。ちょっ、これ以上詰められたら声量上がっちゃう! ここ図書室だから! 図書室だから〜!」
少し顔を赤らめた八葵が、恥ずかしそうに微笑んでいました。
───[本当におしまい!]───
恋と葵は八月に とまそぼろ @Tomasovoro
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