私の家族、変なんです! (ナナ)

 宇宙人……? しかも体液を吸うって…… まるでホラー映画に出てくる怪物みたいだよ!


 わ、分かった! また二人で私をからかっているんでしょ!? 

 しかも死んじゃうなんて脅かして…… さすがに騙されないんだからね!


「その顔は信じてないって顔ね…… まあ、仕方ないわよね」


「うんうん、私だって最初聞いた時はママの頭がおかしくなったと思ったもん」


 冗談…… なんだよね? 

 それにしては二人とも困った顔をしているのが気になる……


「あとは俺が分かりやすく説明してやるから、ナナは最後まで聞いてくれ」


 あっ、ゴローさん…… そういえば寝ちゃう前にゴローさんが家に来てたんだっけ、そして変な液体の入った哺乳瓶を私の口に…… あの苦くてドロドロした、でも癖になるような飲み物を私に飲ませて……


 とりあえず騙されていると思いながら、私はゴローさんの話を聞くことにした。


「まずはナナのご先祖さまの話からだな……」


 そしてゴローさんは私の家系の秘密、体質などの説明をしてくれたのだが……




 ……理解できない!!


 話によると、私達のご先祖さまは遥か遠い宇宙からやって来た地球外生命で、地球の生物、特に人間に寄生して生きていたらしい。


 そしてある時、その生命体の一人? が完全に人間と融合して、人間のような生命体となった。


 そしてその突然変異となったその個体がどんどんと繁殖をして、私達のご先祖さまは密かに人間社会に紛れ込み生活をしていたみたいだ。


「あの『ドラキュラ』とか『サキュバス』なんかもナナの遠い親戚みたいなものなんだぞ?」


 ドラキュラとサキュバスが親戚? 架空の怪物じゃないの? 


「あれらは特殊だったから目立って歴史に名が残ってしまったが、その他の先祖はこっそり死なない程度に人間とかの体液を奪いながら生活していたんだ…… ただ、元々地球の環境に上手く適応出来ない種族だったみたいで、寄生しないと生きていけない種族は絶滅して、今はほとんど人間と変わらない身体の構造をした子孫しか残ってないんだ、それが…… ナナの家系のルーツだ」


 えっ…… じゃあ、私は…… 人間じゃないの?


「いや、ほとんど人間だ、ただ…… 稀に体液を欲して発作が起きてしまうという欠点がある、俺の奥さん…… ナナ達の従姉妹のシノだってそうなんだぞ?」


 シノお姉ちゃんも? 普段はほんわかして、ゴローさんと娘ちゃんに甘々なのに……


「そして、その発作を我慢し続けると最悪死んでしまうんだ…… その前に無意識に体液を奪おうと人間に襲いかかる確率の方が高いけどな」


 じゃあどうすればいいの!? このままじゃ普通に生活出来ないよ! ……でも今まで何ともなかったし、やっぱりみんなで私を騙してるんじゃ……


「まっ、手っ取り早く体液を摂取するなら…… セッ○スよね!!」


 お、お姉ちゃん!? な、何を言ってるの!? セッ、セッ、セー! の、よいよいよい……


「あははっ! ナナったら顔が真っ赤よ? 初心うぶなんだからぁ…… 気持ち良いし、お腹は満たされるし一石二鳥じゃない! ねっ、ママ?」


「そうねぇ…… 週に最低でも二回は摂取出来たら身体は楽なんだけど、パパも最近元気がないから……」


「だから月一回やってるんでしょ? 『摂取せっとらせ』だっけ? パパもよく許可を出したわよねー、私は別に摂取フレンドがいるから良いけど」


「あれは…… パパがどうしてもって言うから仕方なく…… でも他の人のを摂取してから帰って来たら、嫉妬したパパの元気が凄くって…… うふふっ!」


「だからパパの部屋にある秘密の地下室で朝まで生摂取大会をしてるのよね? ママったら大声で叫んじゃって…… ふふっ!」


「やぁん! 言わないでよー! うふふっ!」


 はっ? えっ? ぷひゃあぁぁぁー!!


 摂取フレンド? 摂取らせ? はわわっ!!  私には刺激が強すぎる話だよ!


「……ナナ、この二人も特殊な部類に入るから気にしなくてもいいぞ?」


 ゴ、ゴローさぁん…… 私のママとお姉ちゃん、おかしいよぉー!!


「だからナナも彼氏の…… ペー○ーくんだっけ? に、いっぱい摂取させてもらえばいいのよ!」


「うふふっ! 搾り過ぎには注意よ?」


 ハイジくんだよ!! そんな事を頼んだらぁ…… ビッチだと思われちゃうからヤダよぉー!!


「ビッチ? 生きるためなんだから仕方ないじゃない、慣れれば楽しいわよ」


「それに『良い匂い』がするんでしょ? きっと相性バッチリよ! ママとパパみたいに!」


 はわわぁ…… ハ、ハイジくんと摂取……  想像しただけでヨダレ…… いや、鼻血…… ううん! 迷惑をかけちゃいそうで恐いよ!!


「ごほん! それなら俺が呼ばれた意味がないだろ! そんな誰にも迷惑をかけたくないというナナのために俺がこの『バナナ・ザ……・オレ』を持ってきたのに」


 バナナ…… オレ? 


「そう! 俺以外では摂取したくないと苦しむシノのために作った、体液に似た成分を一万ミリグラム配合したスペシャルドリンク! 『バナナ・ザ……・オレ』だ! これを飲めば発作を抑えられるんだ!!」


 す、凄い!! 『ザ』の後の間が気になるけど…… それがあればハイジくんに嫌われなくて済む!!


「だけど欠点があってな…… 発作が起きる直前、または発作中じゃないと効き目がないんだ」


 えっ…… じゃあ…… あらかじめ飲んでも意味がないの?


「まだ未完成だからな…… いずれはいつ飲んでも大丈夫なように改良するから安心してくれ」


 うん…… でも、どうしよう…… 学校で…… ハイジくんとのデートの途中で発作が起きたら……


「それなら大丈夫よ、慣れてくれば発作が起きそうなタイミングが分かるから」


 ママ……


「そうそう、その時ピュッと摂取すれば大丈夫!」


 お姉ちゃん…… 


「とりあえず、慣れるまで俺が『オレ』を持って来て飲ませてやるから」


 ゴローさん……


「でも…… そうしたら慣れるまではハイジくんと遊べないよ…… どうやって説明しよう」


「……仕方ない、ナナは口下手だからな、俺が付いていってクラ○くんに説明してやるよ」


 ク○ラじゃない! ハイジくんだってば!!


 そして……



 …………

 …………



「最初のうち、発作が頻繁に起きてなかなか連絡も返せなかったし、夏休み中だったから学校でも会えなくて…… 勘違いさせてごめんなさい!! だけど浮気なんてしてないの! 信じて、ハイジくん!!」


 こんな身体のせいでハイジくんに嫌な思いをさせてしまった…… 


 だけど私は…… ハイジくんが大好きなの!! お願い…… 信じて……

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