第159話

このままスーズさんとセムターさんとパーティーを組む事になるかな?

問題も無さそうだし、全員が大人なので、揉め事も話し合いで解決出来そう。

感情でやられると解決しないんだよね。大人な対応求む。


なんて考えてたら自称勇者君がやってきた。

黒目黒髪だから転移者と判断するのは安易だよな。

今まで出会ってないと言っても、俺の行動範囲は狭いし。

他の人が珍しいとか言ってても、魔物の居る世界で乗り物も発達してなければ異国の人間は珍しいと思う。

戦国時代にポルトガル宣教師が来たとして、異世界人とは思わないだろ?

まぁ、異世界なんて発想自体が無いだろうけど。


それに、もし転移者だとしても、俺と同じ世界から来たとは限らない。

俺の居た世界と現在居る世界、異世界が2つはあると判明している状態で、他の世界が無いとは思えない。

黒目黒髪の人間ばかり居る世界や、同じ日本でも常識の違うだけの世界があっても不思議じゃない。

クラスごと転移とかなら同じ世界と理解出来るけどな。


「俺と一緒に最下層を目指そうって人はいませんか!」

「ちょっと良いかな?」

「なんですか、怪しい人」

「まぁ自分の格好が怪しいってのは自覚してるけど、本人に言うなよ。

 で、何で最下層を目指すのか、理由は?」

「勇者だからですよ! きっと最下層には中ボスが居て、この世界を救う為の装備品やアイテムが隠されているはず!」


う~ん、ゲーム脳だなぁ。


もし魔王と呼ばれるような存在が居て、敵対する勇者に持たせてはいけない物があるとしよう。自身を倒せる武器とか。

普通に考えて、どこに隠す?

自分の城の中が確かに一番安全かも。というか常に持ってれば良い。自分の所まで来ないと入手出来ないなら困るだろう。


では、それが触れない、もしくは近くにあるだけでダメージを受ける物だとしたら?

俺ならどうするか。

まずは物理的に破壊する。粉々にして、あちこちに散布してしまうかな。

出来ないとなると隠す一択。

重りをつけて深い海に沈めるとか、マグマの中に捨てるとかする。回収出来なくする。


間違っても、こんな人の出入りがあるような場所に隠さない。

しかも、いかにも何か隠してますと言わんばかりに、中ボスなんか配置しない。


では何故ゲームではやってるのか。

答えは簡単。ゲームだからだ。

主人公が勇者なら世界を平和にさせるのが目的だからだ。

キーアイテムを回収不可能な場所に配置する訳が無い。

その場合、深海に沈めてても魔法や使役した海洋生物を使って回収できる仕組みになっている。


さて、この世界はどうだろうか?

魔王のような存在の事を今まで聞いた事が無い。

居るのなら宰相さんが手を打ってない訳が無いだろう。

下手すれば協力を要請されると思う。


…………神っぽいのに騙されてるんじゃない? 大丈夫?



思考している間に二人共断ったようだった。

スーズさんは最下層で入手出来るかもしれない魔法には興味があるが、命をかけてまで欲しくはないと。

セムターさんは大金をくれるなら付き合っても良いと言ってる。

それに対して回収した物を売って現金化して払うと言ったようだが、それではダメだと。

大金になるか確証が無いからだそうだ。

確かに最下層を目指すなら、道中は急ぎ足で進むだろう。

昔RPGをやってた時、道中で金属なスライムを狙って長々とダンジョンに居た、俺のような事はしないはずだ。

そう言えば、あのゲーム、エンディングまでやってなかったなぁ……。

金属なスライム倒しやギャンブルばかりやってたわ。レベルだけは異様に高かったけど、それで満足してた。


「貴方はどうです?」


おっと、俺にも話が来た。


「ん~、興味無いかな。最初の階で魔法紙が入手出来たら、その時点で帰るくらいのつもりだし」

「そうですか。俺と同行するのは貴族の人くらいか~。

 ま、勇者のお供には王族か貴族って決まりだからね。しょうがないか」


いつからそんな決まりがあったのだろう?

まぁ本当に世界の危機なら屈強な騎士や兵士が同行するだろうけど。そういう人は多分貴族だと思う。


ってか、あの貴族さん、同行するのかよ!

この自称勇者は絶対に無茶するぞ?!

まぁそう思ってても止めないけどね。自己責任ですよ。

ここで止めたり、後から助けに行ったりする程、お人好しじゃないんでね。

そんなのはラノベの主人公に頼んでください。見返り無しで助けてくれるよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る