第9話
加入は簡単で、身分証にピサロの街の冒険者ギルド所属と書き加えられただけ。
あっ、ちなみにこの身分証。
薄い何かの板に薄い何かがコーティングされている。
ラミネートフィルムじゃないし、何かの革?
うん、わからん。
ついでに、初めてここがピサロって街って知ったよ。
俺の仕事は明後日からという事で、一旦宿に戻ってきている。
戻る前に宿の外観を漆喰板に描いて、宿の主人に渡しておいた。
これで少しは心象が良くなっただろう。付け届けは大事ですよ。
さて、意図せずに冒険者にもなった。
街の住民にもなった。(ここに住むとボブに言ったからそうなった)
ここまでは行き当りばったりだが、先々を考えなくては。
自営業者をナメるなよ? 自分で計画を建てて行動しないとすぐに詰む業種だから。
幸いラノベのお仕事をさせて貰っていたので、知識はそれなりにある。
挿絵を描かせてくれてた作者さん達、ありがとう。そしてごめんなさい。
人増やすな、整合性を持たせろ、美男子美女ばっか出すな、街の描写とか細かくすんな、とか陰で思ってました。
このラノベの知識だが、まぁ偏りはあるだろう。
しかしあながち間違いではないと思える。
そこでだ。今後の起きうる事を予想しようじゃないか。
後は俺の生活目標ね。
生活目標は難しい事じゃない。
戦闘には参加せず、絵を描いて暮らしたい。生活水準も現代に近づけたい。
これくらいかな?
そして有り得そうな事。
1.戦闘に巻き込まれる。
2.目立ちまくり、貴族・王族に絡まれる。
3.田舎の開拓をさせられる。
4.貴族になる。
5.徴兵される。
6.婚約破棄される。
7.ありえない強さの魔獣とかが従魔になる。
8.強権を振りかざすヤツは嫌いと言いながら圧倒的暴力で支配する
とりあえず思いついた事をスケジュール帳に書いてみたけど……6は無いな。
逆にありえそうなのは、1・2・5辺りか?
で、回避する方法だけども。
定番でありテンプレの「自重する」ってのが一番なんだろう。
でもね、快適な生活を送りたいじゃん?
現代の水準は無理でもさ、風呂上下水道完備、美味い飯、くらいは欲しい。
そうするとさ、お金が沢山要るじゃん?
ラノベのように冒険者とかで稼ぐとするじゃん?
絶対目立つじゃん? じゃんじゃん?
こんなの自重してたら無理でしょ。
そこで俺は考えた。
先程上げた、8番の事を!
そう! つまりは手出し出来ない状態になれば良いのだ! あっ、暴力は無理。レベル1のGだから。
って事は、無くてはならない物を手に入れれば良い。
俺にしか無い物、俺しか生み出せない物を。
そうすれば、俺に害を与えようと思わないはずだ。
中には暴走する貴族も居るだろう。
「俺を手に入れれば、儲かるし、王族にも強く出られる、いや王になれるかも」みたいに考えるヤツが。
その為に絶対防御も必要だ。
長々と考えたが、指針は決まった。
1.レベルを上げて、具現化を自由に使えるようになる。
2.それまでは細々と目立たないように暮らす。
3.具現化が使えるようになったら、絶対防御を作成する。
4.絶対防御が完成したら、商人・貴族・王族に絶対防御を売る。(時間制限有りの劣化版を)
これに頼るようになれば、狙われなくなるはず。もしくは守ってくれるはず。
5.ダメな場合は、なんらかの方法で脅す。俺が死んだら道連れですよ~とか。
6.最悪の場合は、ボブのように洗脳を王に施す。
これだな。
完璧な策だ。
ちょっと外道なのも含まれているけど……気にしない。慌てない慌てない、一休み一休み。
このスケジュール帳が王族とかに見られたら、完全に不敬罪だよな~。注意しよう。
よし!!
まずは目録作りで日銭を稼ごう!!
………………先は長いなぁ。
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