第12話
あれから10日。
毎日冒険者の仕事をしている。
……いや、これって冒険者の仕事かなぁ?
冒険者ギルドの仕事だから、冒険者の仕事と言えると思うけど……なんか違う感がある。
まぁ植物にも詳しくなれたし、良い事だと思う。
作った漆喰の板の出番が全く無いけどさ。
さて、さすがに10日もすると近場で描く物が無くなってくるのは自明の理。
少し遠出をする事になった。
「どこに行くんですか?」
「そんなに遠くないぞ? 川上にある草原だ」
あ~、最初に俺が来た場所ですかね?
熊出ますよ、熊。
「そこしか生えない植物とかあるんですか?」
「いえいえ。そこでは動物を描いて頂きますよ」
おっとっと。
まさかの植物シリーズ終了ですか?!
そして動物シリーズ突入ですか?!
自分、クソ弱ですよ?
「心配すんなって! ちゃんと守ってやるよ。モンスターでも出ない限り問題ねぇって!」
それはフラグというヤツですか?
ラノベでは必ずと言っていいほど、モンスター登場ですよ?
言っとくけど、草抜きでレベルが上がったとはいえ、緑スライムが赤色になった程度ですからね?
はい、現在のステータスがこれ。
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名前:林響也(はやしきょうや)
年齢:32歳
職種:イラストレーター
レベル:3
体力:G
魔力:G
耐性:G
運:F
能力:絵(S)
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どうよ、この成長。
運がFにランクアップ! って運かよっ!
せめて体力上げてくれよ!
まぁ、草抜きしただけでレベルが上がるんだから、ありがたい話ではあるんだけどさ。
つまりですね、運が無いんですよ?
この状態でフラグ的な発言? これはもう出現確定ですよね?
恐怖に慄く俺を無視して、エイさんは草原に走っていった。
「ほれ、捕まえたぞ」
そしてウサギを捕まえて帰ってきた。
「とどめはキョウヤの仕事だからな」
言いました。確かに言いました。
でもね? 何かつぶらな目でウサギが俺を見てるんスよ。
これを殺すんですか? 俺が? マジで?
殺さないで……
あぁ、ウサギの声が聞こえる気がする…………。
現代っ子には無理じゃないかな~。
子供じゃないけど。
でも、ここで「無理です」って言ったからって、逃しはしないだろう。
どちらかが殺すに決まっている。持って帰れば売れるし。
この先もこの世界で生きるなら必要な事だと割り切ろう。
目を見ちゃダメだ。切る所だけを見るんだ。
逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。
「ここを切れば血が流れ出るので楽ですよ」
親切に教えてくれた。
首切りか……が、がんばりますです、はい。
…………生きるって大変だな。
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