三番シアターの亡霊は何者か? ストーリー構成が秀逸なホラーミステリー


 カクヨム読者として最大の運命の出会いがこの作品です。「出会えてよかった」の一言に尽きます。推し作品です。

 巧みなストーリー構成、魅力的なキャラクター、徐々に明らかになっていく謎に惹き込まれること間違いなし!
 幅広い層に刺さる作品だと思います。どうか騙されたと思って読んでください。


 軽くあらすじを紹介します。

 古い映画のみを上映する映画館「モナリ座」三番シアターの地縛霊であるくじらちゃんと、主人公の折戸圭一は映画友達です。

 そんなくじらちゃんが幽霊になる前の唯一の記憶は、「スクリーンいっぱいに映った鯨」。

 圭一は、くじらちゃんが生前どんな人であったのか、どんな一生を送ったのか、そしてどうして死んだのかを探ろうとします。

 そんな中で出会うのが芦峯円というレンタル霊媒師です。
 レンタル霊媒師という時点でキャラが濃いですが、彼は映画館を所有している森岡家最大の恥とも言われており、勘当されています(何故そうなっているのかは本編でご確認ください)。

 圭一は円に探し物を手伝って欲しいと頼まれます。その探し物はなんと、円の母親の遺骨でした。

・モナリ座にいるくじらちゃん
・円の家庭事情

 ↑この一見関わりのなさそうな二つの謎が、後半に近付くにつれ全て繋がっていきます。

 三番シアターの亡霊の秘密を知った時、鳥肌と涙が止まらなくなることでしょう。
 謎が徐々に解き明かされていく時の「そうだったのか」感が素晴らしいです。
 読み終わった後はそれこそ映画を見た後のような満足感、余韻に浸れます。



 私はこの作品を紙で読みたい。あわよくば書籍版で新たなおまけエピソード加筆とかされてほしい(強欲)
 どこかの編集部さま、どうかよろしくお願いします(強い念)


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