幽霊が視える猫目線で元飼い主の死の真相に迫る、ホラー&ミステリー
- ★★★ Excellent!!!
『パルメザンのちっぽけな祝福』というタイトルに惹かれ、パルメザンってどういう意味だろう? と思って開きました。
パルメザンは、この物語の主人公である猫の名前でした。『ちっぽけな祝福』が何を指すのかはまだ分かりません。続きが楽しみです。
こちらの作品は、パルメザンの長年の飼い主であるおばあちゃんが自殺した謎を解く物語です。
おばあちゃんは生前、「私は悪いことをしたから地獄へ行く」とパルメザンに言っていました。
ここのパルメザン→おばあちゃんへの思い、猫好きとしては泣かされます。地獄へ行ったと言うおばあちゃんに対し、パルメザンは「地獄で僕が傍にいてあげないと」と思っているのです(;_;)パルメザン……
そんなパルメザンはある日突然「半透明の人間」=幽霊が視えるようになります。
パルメザンは前述した通り猫なので普通に生きている人間とは言葉を交わすこと(正確な意思疎通)ができません。でも幽霊とは話せます。これがこの物語の設定の斬新かつ面白いところで、猫だからこそ人間ほど自由に喋れず、おばあちゃんのことを知る難易度が上がっています。そのかわり死者とは話せるという……猫という立場に、欠点もあれば長所もあります。作者さんの物語を面白くする設定力に驚かされます。
ちなみに、パルメザンが出会った女の子の幽霊も「パルメザンのおばあちゃんが地獄に落ちていったところを見た」と言うので、おばあちゃんが地獄へ落ちたという話は本当のことのようです。
パルメザン目線ではおばあちゃんはとても優しい飼い主なので、何故そんな優しいおばあちゃんが地獄に行ったのか? が謎として重要な部分であると思います。
それ以外にも、プロローグ『僕は死神』の猫はパルメザンなのか?(ここの描写だと何だか殺害を愉しんでいるように見えるが…) パルメザンはどうして突然幽霊が視えるようになったのか? 本当におばあちゃんは霊能力者を名乗るただの詐欺師だったのか? おばあちゃんは何故自殺したのか? など、謎が多く散りばめられており、続きが楽しみで仕方ありません。
軽い気持ちで読み始めたらどんどん惹かれていきました。
ホラー好き、ミステリー好き、猫好きなどなど、全ての人に読んでほしい一作です。