飛鳥な時代から平安時代ですよ
第8話 飛鳥の時代ですよ
「お久しぶりですね。今回から飛鳥時代に入っていきますよ」
「古墳時代の後に、飛鳥が来ると」
「そうです。kohun&Asukaです。なんだか、有名バンドみたいですね」
「とりあえず。ノーコメントで」
「では、Asuka時代について語っていきますね。ヤマト政権では、豪族の権力争いが激化しており。最終的に蘇我氏と呼ばれる豪族が権力を牛耳ります」
「蘇我氏って、どんな奴なんだ」
「大陸などから渡ってきた渡来人を活用し。のし上がった一族です。後世の書物、日本書紀ではカスみたいな一族って書かれてます」
「ひっでぇ書かれようだな」
「まぁ、そんな蘇我氏ですが。蘇我馬子と呼ばれる人物の代で栄華を極めます。ライバルとなる豪族を潰したり。言うことの聞かない天皇を暗殺したり。色々とはっちゃけていたみたいです」
「天皇暗殺したの! はっちゃけるですまない内容だぞ」
「日本書紀によると、「あいつ(蘇我馬子)むかつくわ、俺っち天皇やで。あーあ、今日配膳されたこのイノシシの首みたいに、あいつ斬り落としたいわぁ」ってぼやいたのが切っ掛けと言われています。乙女の純情を持っていた蘇我馬子は、信じていた天皇にそんなことを言われ。悲しみに暮れ。……さきにやっちゃうか。ってな感じで配下に命じて暗殺し。推古(すいこ)天皇を擁立したと書かれています」
「どこに乙女の純情が垣間見えるの! 殺意しか垣間見えないよ!」
「さて、この推古天皇、実は天皇になることに全く乗り気ではなく。女性の天皇とか前例ないないない。無理、無理、無理と三回以上も断りましたが、他の候補が若すぎるのもあって。なし崩し的に天皇になってしまいます。後に語られる、三個の無理ってやつですね」
「三顧の礼みたいに言わないでくれる。ないからね、三個の無理とか言う用語」
「まぁ、そんな推古天皇ですが、推薦してくれた蘇我馬子と甥っ子の聖徳太子(しょうとくたいし)と共に国政を動かすことになります」
「聖徳太子? 聖人っぽい名前だな」
「文字通り、聖人ですよ。聖徳太子って名前は死後に送られた名前ですから。本名は厩戸皇子(うまやどのおうじ)って言います」
「聖人って言われるってことは、何かすげぇ功績を残したのか」
「一般的には、冠位十二階と呼ばれる。能力主義の制度を取り入れ。十七条の憲法と呼ばれる。役人の心構えを説いたことで知られていますね」
「冠位十二階が、能力主義って分かるが。十七条の憲法って何なんだ? 役人の心構えって、ざっくばらんすぎねぇか」
「十七条の憲法が造られる経緯になったのは、中国の隋(ずい)が関係していますね。まぁ、丁度良い機会です。日本を取り巻く諸外国の動きについて軽く語りますか」
「簡潔に頼むぜ」
「中国では三国志の後、ひっちゃかめっちゃかになっており。世紀末の状態でした。ですが、589年に隋が統一することで、ようやく大陸は落ち着きます」
「ほうほう」
「で、この隋が成立すると、朝鮮半島の国々がこぞって挨拶に向かい。日本も遅れながら挨拶の使者を差し向けます」
「挨拶は大事だよな」
「隋の初代王は、日本の使者が来て、色々と詰問すると。使者は返答に困り果て。適当に返すと。隋の初代王は「……なんや、こいつら、礼も義も知らんのか。未開の蛮人やんけ、こわっ」と言われ。取り合って貰えず。……隋から帰ってきた使者が、やっちゃいました。てへぺろ。って言うと。推古天皇を始めとした、蘇我馬子、聖徳太子(厩戸皇子)は蒼白し。取りあえず。この国の意識改革を始めよう。となって、十七条の憲法を作り、此の国の心構えを定めました」
「その、十七条の憲法ってなにが書かれてんだ?」
「要約すると……1条は、和って良いよね。僕らは話し合ってわかり合うことが出来る民族なんだよ。だから、蛮族じゃないよ。2条は、仏教を尊んでるんだよ。だから、蛮国じゃないよ。3条は、天皇の言うことに皆、聞くから。ちゃんと統率が取れた国だよ。蛮王はいないよ。で、其の先の条文は、役人は仏教だけでなく儒教もちゃんと理解しているよ。礼も義も勿論知ってるよ。だから、蛮族じゃないよ。……ってな感じで書かれてますね」
「めっちゃ、蛮人否定してんじゃん。マジでそんな内容なの!」
「着色はしてますよ。因みに、日本では一回目の隋に使いを送ったことはなかったことにされ。日本書紀では、隋の2代目に送った使節を。まるで初めて送ったかのように書かれています」
「マジでなかったことにしてる」
「この隋に使いを送ることを、遣隋使と言って。隋の文化や文明を学び取るために派遣されました。有名なのは小野妹子ですね。隋の二代目王に渡す国書に「へぇ、アンタん所の王、天子ってゆーんだ。私の王も天子なんだ」って書いてあって。隋の二代目、煬帝をマジギレにします。……ずっと語ってるのもあれなので。問題を出しますね。どうして隋の煬帝は切れたのでしょう。さぁ、走って」
「走らないよ。どこのクイズ番組に影響されてんの。……言うまでもねぇだろうが。これまで中国に遜ってたのに。いきなり同格の扱いをしたからキレたんだろう」
「正解です。次の国書では、その点を反省し。隋の王を皇帝と書き。日本の王を天皇と書き直してます。前回が不遜すぎたので、天皇と名乗ることについて特に言及はありませんでした。これぞ、高度な外交手腕ですね」
「一歩間違えたらえらいことになるけどな」
「そんなこんなで、日本はこれまでのような中国に権威を貰うこともなくなり。独自の発展を遂げていくことになります。飛鳥文化が日本独自文化の始まりとも言えるでしょう。仏教を基盤とした文化で、蘇我馬子が立てた飛鳥寺や。聖徳太子が建てたとされる、法隆寺が有名です。此れ等の建築には、蘇我氏が取り立てた渡来人が関わっており。最先端の建築技術が詰め込まれていました」
「建築物とか興味ねぇな」
「まぁ、実際に見た方が覚えると思いますよ。さて、今回はこんなもので終わりましょうか。次回は大化の改新となります。それでは、まったねぇ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます