第12話 奈良の天平文化ですよ

「奈良にちわ。どうも、奈良復興委員会、名誉会長、ふーぎと言います。今日は奈良の魅力について語っていきますね」



「いつから奈良復興委員会の会長になったんだよ」



「さて、奈良と言えば、鹿が挙げられますね。神様の使いとして大切に扱われています。あと、奈良の魅力としてはシカがいますね。鹿せんべいを与えることが出来ます。あと、奈良と魅力としては鹿がいますね。子鹿もいて可愛いです。以上です」



「鹿の話しかしてないよ!」



「そんな、鹿しか魅力がない奈良ですが、昔は色々と魅力があった都市だったのですよ。奈良時代に仏教が全盛期を迎え。聖武(しょうむ)天皇と呼ばれる人物は、「仏教があれば、なんでもできる」と豪語するぐらいに仏教にのめり込み。国(都道府県)ごとに国分寺(こくぶんじ)と言う男性専用の寺と、国分尼寺(こくぶんにじ)と言う女性専用の寺を作りました」



「そんなにのめり込んでいたのか」



「また、東大寺やものすっごくでっかい大仏を造りました。一説によると、東大寺の建設に当時の日本の人口の半分近く、約260万人ほどが携わったと言われていますね」



「国家規模すぎんだろう!」



「聖武天皇はコレクターでもあって。東大寺の正倉院(しょうそういん)には遣唐使が持ち帰った唐や西アジアの物珍しい物品が集っています。ただ……」



「ただ、なんだよ」



「全て一個しかないのですよね。コレクターなら、使用用、観賞用、保管用の三つは必要ですよね。さて、ベストセラー作家(予定)、ふーぎが執筆した。「なぜ、ベストを尽くさないのですか」と「あと1フィード。何故、諦めるのですか」ただ今、三冊セットで大変お買い得ですよ」



「売るな、売るな! 同じ本を纏めて買わそうとするな!」



「さて、そんなこんなで。仏教が広まっていくと。勝手に僧を名乗るモノが続出してきました。僧になると税が免除されるため。お経も読めないのに僧を自称するモノが多発してしまったのです」



「脱税の抜け道として使われたのか」



「これを危惧した聖武天皇は、僧を免許制にしようと目論みます。テストに出ないので覚えなくて良いですが。……大陸では具足戒(ぐそくかい)と呼ばれる。十人の資格を得た僧の前で、戒律を守る旨を誓い。初めて僧になれました。日本では、この資格を得た僧が一人もいないため。十人の戒律を受けた僧を中国から呼び込み。授戒制度を取り入れようと動き始めます」



「免許制度にしようとしたんだな」



「そうして、遣唐使として派遣されたモノに。戒律を授けてくれる僧探しが始まったのです。しかし、日本と聞くと。どの僧も遠い地であるため苦い顔をします。そんな中、厳正な戒律を授ける高僧である。鑑真(がんじん)と呼ばれる人物の噂を聞きつけ。彼に頼み込もうと向かいました」



「ほうほうほう」



「鑑真は遣唐使の二人の言葉を聞き。弟子に尋ねます。「命をかけて大陸まで渡ってきた。この者達の為に日本に向かい協力したいモノはおるか?」 そう言うと、弟子は皆しぶり。一人の弟子が恐る恐る言います。「日本に果てしなく遠く。無事に辿り着くのは、百人に一人しかいないと言われています。それで皆、答えに窮するのです」その言葉を聞いた鑑真は返します。「これは仏法のためであるぞ。どうして命を惜しむ必要があるのだ。誰も行かぬと申すなら。私が行くまでだ」鑑真がそう言うと。弟子達はこぞって、私達も付いて行きますと一転し。日本に鑑真が向かう準備が始まったというわけです。」



「おお、すげぇな。後は、日本に向かうだけか」



「まぁ、ここからが大変なのですけどね。鑑真は唐でも屈指の高僧であり。唐の王は日本に向かうことを赦さなかったのです。ですので、密航と言う形で日本に向かうことになりますが、五度も日本へ向かうことに失敗しました」



「そんなに失敗したのか」



「弟子や知人が役人に通報して三度失敗し。……船が風にながされて二度失敗します。そして五度目の失敗においては、南へと大きく流され。膨大な距離を歩いて戻る際、鑑真は失明してしまいました。それでも、まだ日本行きを諦めず。周囲が諦めムードの中。この失明も、日本行きがまだ成らないのも。誰の所為でもない。と言って周囲を落ち着かせました」




「……五度失敗してもまだ進むのか」



「失敗ではありませんよ。成功するまで諦めなかったら。それは失敗とは言いません。全ては成功へのプロセス(過程)です。諦めず、前へ、前へ、進むことで道は切り開かれるのですよ」



「…………」



「そして、6度目の挑戦を挑む際。日本から遣唐使がやってきて。その船に忍び込むことで日本へと辿り着き。あの東大寺で戒律を授け。日本に本当の意味で仏教が伝わることになります」



「これまでの努力が実ったってことか」



「泥臭くても、失敗しても必至になっていれば。誰かが見てくれています。だから、努力が無駄とか思わないで下さい。貴方が何かを本当に成し遂げたければ、必ずその道は切り開かれますから」



「……珍しくまともなこと言うな」



「って、さっき読んだ本に書いてましたから。……「なぜ、ベストを尽くさないのですか」と「あと1フィード。何故、諦めるのですか」絶賛発売予定ですよ。一冊、二万円からです。今なら、私のサインもついてますよ」



「売るな、売るな、そんな胡散臭い本!」



「さて、あとは此の時代に書かれた書物について語って終わりましょうかね。此の時代に、古事記と日本書紀が書かれました。古事記は日本向けに書かれており。天皇の正当性について記述されています。そして、日本書紀は、外国向けに書かれており。此の国がちゃんとした王朝なんですよって書いています」



「国内向けが古事記で、国外向けが日本書紀なんだな」



「そして、各地の自然やオカルトといった伝説が書かれたのを風土記と言い。和歌が纏められた万葉集が造られました。まぁ、今回はこんな所ですかね。……ああ、そうでした。鑑真は此れ等の功績が称えられ。平城京に唐招提寺が建てられます。鑑真はそこに住まい。最後まで僧として人々を見守るのです。唐招提寺って、よくテストにでますよ。では、次回は平安時代になります。それでは、まったねぇ」

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