焼け爛れた、美しい世界。


壊れた世界。
いまだ焦げた匂いの漂う地表。
自分の生命すら、実在であるのかを確信できない。
それでも、主人公は希望を口にするのです。
だん、と、飛ぶのです。

情景も、人物も、世界の組み立ても。
これはもう、短編の尺度じゃない。
そうおもって拝読し、作者さまの近況で、長編のプロローグであると知りました。

よかった、って思いました。
きっといつか、もういちど出会える。

翼を得た主人公に。
それを見つめる、笑わない少女に。

焼け爛れ、すべてを失った、この美しい世界に。