概要
見ていて、お呉れ。あたしを。
明治中期。
繁華街を外れた処、いまだ江戸後期の佇まいが残る一角。
ふるい長屋で、男と女は、暮らしている。
蓄えもない、部屋も狭い、冬は冷え、夏は蒸された。
すみよい暮らしではない。
それでも、その、女には。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!そっと胸にしまいたくなる、そんなお話です( ;∀;)
この感覚は久し振りだなぁって思いました。
僕はこちらの物語を拝読して、灯籠流しを思い出しました。
もちろん物語とはまるで関係なくて、僕個人がそう感じただけです。
まるで闇が揺れている様な真っ暗な川面に、小さくて頼りない灯籠を流すのです。
とてもしっかりしているとは言い難いけれど、小さな灯籠が闇の川面に浮かびます。
揺れる灯りが囁いて、僕に何かを言いたげで、
だけど、何故だかわからなくて、
少しづつ、少しづつ、小さな灯籠が離れてゆくのです。
闇のいずこで、揺れ続け、
同じく漂う灯籠が、
無限に増えては、いずこかを、
揺れて、囁き、穏やかに、しめやかに……。
こちらの物語…続きを読む