ペンギンの姿を思い浮かべてはいけない。

たしかに、この物語にはペンギンは一欠片も登場しません。裁断された情報が断片として散りばめられ、主人公は情報体としてのペンギンしか知りません。
でもそれでいいのかもしれません。
僕たち読み手はペンギンを知っています。そうです。物語を読む前からペンギンはそこにいるんです。いるんだからしようがない。
情報を文章にするか、文章を情報にするか。そんなの些細なこと。
ペンギンを見ずしてペンギンを語る。その脳裏にあのかわいい姿はなく、でも確実にペンギンはいる。
読み進めていくうちにこのままペンギンと出逢わずに生きることを望む自分に気付くでしょう。

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