空を見上げて嘴がみする。――こんな詩的でファンクなペンギンがいたなんて

 イワトビペンギンのチャールズが主人公の本作品。
 何が凄いって、作中からほとばしるパッションが凄い。

 チャールズは島生まれ島育ちなのだが、まずもって島へ安穏ととどまる選択をしない。
 それはひとえに、愛する妻が放った、たった一言によってでもあるが。
 とにかく彼はその愛の一言と、自分のペン突猛進する気概によって、地球を闊歩する。
 いや闊歩と表すは生ぬるい。

 語りたいことは様々あれど、騙されたと思って読んでいただきたい。
 小ネタごと楽しい、そんな小説であるし、言葉というものに愛着がある人なら一粒どころかさらに何粒でも美味しいこと請け合いである。

 また、ペンギンが陸から海へと入ると途端凄い泳力を発揮するように、作中端々に「空を見上げて嘴がみする。」といったような詩的表現もあり、その多彩さに心躍るだろう。

 私は魅了された。

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