荒唐無稽の中の純な愛

 このお話の主人公は物件だ。

 大事なことなのでおさらいするが、この話の主人公は物件だ。

 ある種の擬人化とも言えるこの物語は、荒唐無稽ともとれる状況変化によって、一気にその純度を上げる。

 私は思わず涙ぐんでしまった。
 ここには、嬉しさも憎しみも余す事なく綴られている。
 けれど、それは決して重たすぎはしない。
 おそらくは、人ではないそれが、まるで代弁するかのように語ってくれているおかげ……だろうと思う。
 さらりと感動を胸に抱きたい人は、読んでみてもらえたら、と。
 おすすめです。

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