読み終わった時、この作者はなんてものを書いたんだ、と、
思った。
圧倒的質量、圧倒的熱量。
いや、ある種の人生の……“当たり前“への信頼感。
その「明日もきっとあるだろう」という日々の過ごし方への描写。
そして突然やってきた対比。
一人称が、いやに身につまされる。
そして思い知らされる。
オオタニさんはすごい人だ。
高校生の時からメンタル管理の仕方などの研究の片鱗も見せ、その生き様はストイックというほかない。
ストイックさもある種、才能である。
それを、人によってはある種スポーツと対極と見做しているポケカの場でまざまざと見ることになるとは――誰が想像するだろうか。
正直、タイトルだけ見てなんという対比なんだ……と私も思った。
競技をやる身で、それだって囲碁や将棋、チェスといったものと同等だろうと考えてる私だが、それでも大谷翔平と卓に座る場面を想像しただけでクラクラした。
大谷のファンだからとかいう理由からではなく、その、まるで人生を対比させるかのような対面だからだ。
ちなみにファンでは無い。
二刀流すごいな、ストイックさすごいなとは思うけれど。
話を戻すが、タイトルのインパクトを見て読み始めた人は、裏切られると思う。
いい意味で。
ここに茶化しは一切ない。
ただ、男と男の、人生が陳列されている。
誰にとってもたった一つの、かけがえのない人生の時間がある。
それを教えてくれる話だと
思った。